楠美津香

楠美津香：女優からピン芸人へ、そして「ひとりコントの女王」へ

楠美津香（くすのき みつか）は、日本の女優、ピン芸人として知られる存在です。1962年3月24日生まれ、東京都出身。夫は俳優、コメディアンのモロ師岡です。

当初は女優を目指していましたが、横浜放送映画専門学院（現・日本映画学校）で漫才教室を受講したことがきっかけで、お笑いの道へ進みます。級友と女性コントコンビ「ピックルス」を結成し、1982年にデビュー。テレビ番組『お笑いスター誕生!!』で9週勝ち抜きという実績を残しました。その後も、「コントきゃんでいず」、「ふらみんご」など、複数のコンビを結成し活動しますが、いずれも解散しています。中でも「ふらみんご」時代には、第2回NHK新人演芸コンクール演芸部門で最優秀賞を受賞するなど、その才能を開花させていました。

コンビ活動の後は、放送作家やコント作家として活動。そんな中、夫であるモロ師岡のひとりコントライブを目撃し、再び舞台への道を歩むことを決意します。1992年からはひとりコントの単独ライブを開始。演芸場にも出演し、本格的に活動を再開しました。同年、モロ師岡と結婚しています。

1993年4月からは、フジテレビの番組『たけし・逸見の平成教育委員会』にレギュラー出演。高い知名度を獲得することになります。出産、育児で3年間の活動休止期間を経て、1999年にライブを再開。

2000年からは、楠美津香のライフワークともいえる『ひとりシェイクスピア』シリーズを開始しました。シェイクスピアの戯曲を現代の日本にアレンジし、一人芝居として舞台で上演しています。シェイクスピア作品を現代風に「超訳」し、講談調にアレンジした独特のスタイルは、彼女の才能を存分に発揮したものです。

楠美津香自身は、自身の芸風について「演劇にも演芸にもなじまない立場。あえて、『一人称文学の世界』と称しています」と語っています。彼女のひとりコントは、脚本、演出まですべて彼女自身の手によって作り上げられています。

代表的な舞台シリーズ

東京美人百景

1992年の舞台復帰後、長く続けたシリーズです。東京に住む女性たちの姿を、鋭い観察眼とユーモアを交えて表現しました。「祖師谷大蔵のイケイケの人」、「上石神井のバイリンギャル」、「門前仲町八千草のママ・田園調布後援会夫人」など、個性的なキャラクターが登場します。「門前仲町八千草のママ・田園調布後援会夫人」では、国立演芸場花形新人大賞特別賞を受賞しました。

プラチナプレイガール

出産、育児後の1999年から始まったシリーズです。

ひとりシェイクスピア

2000年から続くライフワーク。多くの登場人物を一人だけで演じ分ける高度な演技力が求められます。

テレビ、ラジオ、舞台など多岐にわたる活動

楠美津香は、数多くのテレビ番組、ラジオ番組、舞台に出演してきました。
テレビでは、『お笑いスター誕生!!』、『たけし・逸見の平成教育委員会』、『エイデンシアター UGATTA』などに出演。ドラマにも『金田一少年の事件簿』、『サイコメトラーEIJI』、『リモート』などに出演しています。ラジオでは、『ラジオ公園通り』、『カウントダウン・ジョーカー』などに出演経験があります。

舞台では、『東京美人百景』、『プラチナプレイガール』、『ひとりシェイクスピア』シリーズに加え、『愛とテトリスのコント～大失楽園～』など、多様な作品に出演し、夫であるモロ師岡と共演した作品もあります。

受賞歴と著書

数々の賞を受賞しており、第2回NHK新人演芸コンクール演芸部門最優秀賞（1987年）、国立演芸場花形演芸会銀賞（1992年）、国立演芸場花形新人大賞特別賞（1994年）などがあります。

著書に『楠美津香の東京美人百景』（集英社）があります。

楠美津香は、女優、ピン芸人、放送作家、コント作家として、多様な才能を発揮し続けている稀有な存在です。その活動は、今後も多くの人々を魅了し続けるでしょう。

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