極悪の流儀

概要

『極悪の流儀』は、2015年にアメリカ合衆国で製作された犯罪スリラー映画です。原題は『Mojave』。監督は脚本家としても知られるウィリアム・モナハンが務め、主演はオスカー・アイザックとギャレット・ヘドランドが演じました。成功の絶頂にいる映画監督が、砂漠での不運な遭遇をきっかけに、自身の人生を揺るがす事態に直面する様を描いています。

この作品は日本国内では劇場での公開は見送られましたが、2016年12月2日にDVDがリリースされ、日本の観客も鑑賞することが可能となりました。

ストーリー

物語の主人公は、ハリウッドで名を馳せる映画監督トーマス、通称トムです。ある朝、彼は激しい二日酔いに苦しみながら目覚めます。前夜のパーティーでの深酒が原因でした。視界に入ったのは、見慣れない女性が隣で眠っている姿。気まずさを避けたい一心で、トムは静かにベッドを抜け出し、インスピレーションを求めてしばしば訪れる広大な砂漠へと向かいます。

孤独な思考の時間によって創造性を研ぎ澄ませていたトムですが、この日は予期せぬ出来事が彼の静寂を破ります。ジャックと名乗る、どこか影のある男との出会いでした。ジャックがライフルを手にしているのを見たトムは、彼を強盗か何かだと判断。一瞬の隙をついてジャックからライフルを奪い取ります。ジャックは隠し持っていたナイフで抵抗しますが、トムは護身用に持っていたナイフでなんとかその場を切り抜けることに成功します。

砂漠からの帰路、車が故障したため、トムは歩いて戻ることを余儀なくされます。途中の洞窟で夜を過ごしていた彼は、入り口に人の気配を感じ取ります。昨夜の男が報復に来たと思い込んだトムは、暗闇の人影に向かって発砲してしまいます。しかし、撃ってしまった相手はジャックではなく、たまたま通りかかった保安官でした。驚愕したトムは、慌ててライフルの指紋を拭き取り、現場に残したまま逃走します。これは、ライフルの正規の持ち主であるジャックに罪を着せるための策略でした。

その頃、ジャックはトムの放置された車を発見しており、車内に残されていた書類からトムの身元を突き止めていました。彼は保安官殺害というネタを利用してトムを恐喝できると考え、ヒッチハイクでロサンゼルスへと向かいます。

ジャックの予測不能な行動に動揺したトムですが、彼はただの映画監督ではなく、策略に長けた人物でもありました。すぐにジャックに対抗するための策を練り始めます。二人の間で緊迫した駆け引きが展開され、最終的に彼らは事の発端となった、あの因縁の砂漠で全ての決着をつけることになります。

キャスト

オスカー・アイザック: ジョン・ジャクソン（ジャック）
ギャレット・ヘドランド: トーマス（トム）
マーク・ウォールバーグ: ノーマン
ウォルトン・ゴギンズ: ジム
ルイーズ・ブルゴワン: ミリー
フラン・クランツ: ボブ
ダニア・ラミレス: ボーモント刑事
マット・L・ジョーンズ: ルイス
カイリー・ロジャーズ: ソフィー
オリヴァー・クーパー: ニコラス（ニック）

製作背景

本作の製作は2012年3月に報じられ、アトラス・インディペンデントが出資を決定したことが明らかになりました。同年12月にはオスカー・アイザックの出演が発表され、後にジェイソン・クラークの名前も挙がりましたが、最終的にはギャレット・ヘドランドがトム役を演じることとなりました（2013年5月決定）。ルイーズ・ブルゴワン（7月）、ウォルトン・ゴギンズ（9月）、フラン・クランツ（10月）らも順次キャストに加わっています。主要な撮影は2013年9月27日に開始され、舞台となったモハーヴェ砂漠とロサンゼルスで行われました。マーク・ウォールバーグは2014年3月に自身の撮影参加を明かしており、音楽はアンドリュー・ヒューイットが手掛けています。

公開と評価

2013年11月7日には、プロモーションの一環として劇中写真が公開されました。2015年4月18日、本作はトライベッカ映画祭にて初めて上映（プレミア上映）されました。その数日後の4月24日、配給会社A24とディレクTVが本作の全米配給権を獲得したことが報じられています。

批評家からの評価は全体的に厳しく、賛否が分かれる結果となりました。映画レビュー集積サイトであるRotten Tomatoesでは、64件のレビューに基づいて批評家支持率が31%に留まり、平均点は10点満点中4.7点でした。また、別の集積サイトであるMetacriticにおいても、21件のレビューに基づく加重平均値は100点満点中44点と、低い評価を示しています。

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