極東放送 (沖縄)

極東放送 - 沖縄の歴史的なラジオ局

極東放送（きょくとうほうそう）は、1958年2月23日から1984年8月31日まで沖縄県で中波放送を行っていた放送局である。アメリカのキリスト教系法人「極東放送」（FEBC）が設立したこの局は、浦添市に本社とスタジオを置き、コールサインはJOTFであった。この局は、現在のエフエム沖縄（JOIU-FM）に受け継がれた放送局である。

設立の背景

アメリカ統治時代の沖縄において、極東放送は1958年に設立された。当初はKSABというコールサインで英語と日本語の2か国語による放送が行われ、1960年には日本語専門のKSDX局が開局、その後中国語専門のKSBU局も追加された。このように、3つの波を持つことになり、特に中国語の放送には当時アメリカと国交がない中国への布教活動の一環として重要な役割が担われていた。

放送内容と特色

FEBC沖縄は、その信仰に基づくキリスト教関連番組を多く放送していた。しかし、時間が経つにつれて、琉球民謡や最新の洋楽、ニュースなどの一般向けの番組も増えていった。特に、ラジオを持っていない家庭向けの特別なポータブルラジオの貸し出しや、一般的な情報番組の制作も行われるようになり、多くのリスナーに親しまれた。放送内容は主に宗教音楽、ニュース、生活情報等で占められ、CMは流さないために長尺音源をフルで放送することができた。

経営的な変遷

1972年の沖縄の日本復帰に際して、極東放送は状況の変化に適応しなければならなかった。沖縄復帰による特別措置により、日本語局は日本法人設立までの1年間の放送継続が認められた。他の言語局は一部廃止され、最終的に日本語専門局が民間放送局として存続する道を選んだ。その後、1978年には法人から株式会社に改組され、FM放送への移行が進められた。

終焉とエフエム沖縄への移行

1984年8月31日、極東放送は中波放送を終了し、翌日から「株式会社エフエム沖縄」として新たにFM局としてスタートを切った。この改組により、極東放送の持つリソースや制作してきた番組内容が、新しい形で伝えられるようになった。

文化的な影響

極東放送の存在は、沖縄のラジオ文化だけでなく、地域のアイデンティティとも密接に結びついていた。宗教的背景を持ちながらも、地域音楽や情報を積極的に取り入れ、多様なリスナーにサービスを提供し続けたことが、長きにわたって地域に支持される要因となった。また、伝統的な琉球文化を発信し続けたこの局の貢献は、今もなおエフエム沖縄に受け継がれている。

結論

極東放送は、戦後の沖縄における重要なメディアとしての役割を果たし、地域の文化と信仰を支えるだけでなく、他の放送局との協力や競争を通じて発展してきた。沖縄の歴史や文化を理解する上で、極東放送の存在は欠かせないものである。

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