極高圧帯

極高圧帯について

極高圧帯（ポーラーハイ）は、北極と南極の両極域に位置する大気下層に存在する高気圧帯です。この帯は、寒冷な大気が下降することによって形成され、主に600 hPa以下の層に現れます。また、この圧帯はおおむね低い層での変動を伴いながら存在します。極高圧帯の影響により、地上では東寄りの風が吹き、上空では極の方向へ向かう風が流れています。このような風のパターンが極循環を作り出し、気候や天候に大きな影響を与えます。

極高圧帯は、亜熱帯高圧帯とは異なり、主に冷たい空気に支配されています。このため、降水量は非常に少なく、「極地砂漠」として知られる乾燥した地域が形成されています。さらに、極高圧帯の上部では低気圧が英語で「ポーラー・ヴォーティス」と呼ばれる対流圏の極渦に関連しています。

南極と北極では、極高圧帯の性質に顕著な違いがあります。南極では、南極大陸上に常に存在する南極低気圧が観測されますが、北極では春から初秋にかけて北極海上に北極低気圧が発生します。しかし、冬季には地理的要因によりシベリア高気圧やカナダ高気圧が顕著になり、北極低気圧の影響は目立たなくなります。

W. H. Hobbsは、南極やグリーンランドの氷床で形成される氷河高気圧についての理論を提唱しました。彼の理論によれば、氷河高気圧は大気の循環において重要な役割を果たすとされていましたが、観測結果によりその定常性と影響力は思っていたほど強くないことが明らかになりました。

寒帯前線帯では、極方面から吹き寄せられる寒気と亜熱帯高圧帯から流れる温暖な偏西風が境界を形成しています。この寒帯前線よりも極に近い場所では、気団の性質の違いによって「極前線」と呼ばれる現象も頻繁に見られます。具体的には北極前線と南極前線が存在し、これらの前線では乾燥して非常に低温な北極気団や南極気団と、海面から熱を受け取って変質した比較的温暖な寒帯気団との間で気象擾乱が発生します。

このように、極高圧帯はその地理的な位置と環境要因により、気象パターンや気候に多大な影響を及ぼします。特に降水量が非常に乏しいため、極地の特異な生態系が形成され、厳しい気象条件がもたらす影響は深刻です。さらに、極高圧帯の変動は気候変動とも関連しており、これにより全地球的な気象にも影響を及ぼす可能性があるため、研究が続けられています。

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