楽天トラベル

楽天トラベル：日本を代表するオンライン旅行予約サイトの軌跡

楽天トラベルは、楽天グループ株式会社が運営する、国内外旅行の予約をオンラインで手軽に行えるウェブサイトおよびアプリです。国内ホテル・旅館の宿泊予約を中心に、高速バスチケット、航空券（国内線・国際線）、そして国内外のツアーパッケージ「楽パック」など、多様な旅行プランを提供しています。

国内旅行予約市場における圧倒的な存在感

日本国内の旅行予約サイトにおいて、楽天トラベルは『じゃらんnet』などと共にトップクラスのシェアを誇ります。楽天グループは第1種旅行業者の登録を受け、楽天トラベルを通して、日本最大規模のオンライン旅行会社（OTA）としての地位を確立しています。観光庁のデータ（2017年度）では、取扱高においてJTBグループに次ぐ第2位を記録しました。利用者はビジネスと観光の両方に渡り、ほぼ同数の割合で利用しています。

国内宿泊施設の登録数は3万3千件を超え、予約サイトとして首位を堅持しています。ビジネスモデルとしては、楽天が宿泊施設に予約システムを提供し、手数料（システム使用料）を受け取る、OTA業界で一般的な仕組みを採用しています。支払方法はクレジットカードと現金払いが選べ、領収書の発行方法は支払い方法によって異なります。クレジットカード払いの場合は楽天トラベルのサイト上から発行、現金払いの場合は宿泊施設から発行される領収書を利用します。

サービスは日本語に加え、英語など複数の言語に対応していますが、日本語以外の言語では、日本の宿泊施設予約に特化した内容となっています。また、宿泊施設が独自の情報発信ができるカスタマイズページ機能も備えています。さらに、日本航空（JAL）や全日本空輸（ANA）のマイル積算サービスにも対応しており、提携航空会社専用のリンクから予約することでマイルが貯まります。

「旅の窓口」から楽天トラベルへ：歴史と発展

楽天トラベルの歴史は、1996年、日立造船の子会社が立ち上げたホテル予約サイト「ホテルの窓口」に始まります。インターネットの普及と共に利用者は増加し、1999年には「旅の窓口」へと改称・リニューアル。日本のインターネット宿泊予約サイトでトップシェアを獲得しました。2000年代に入ると、他社による参入が相次ぎ、競争が激化します。

2001年、楽天が「楽天トラベル」を開設。「旅の窓口」と競合する形でサービスを開始しましたが、当初は規模で劣っていました。しかし、楽天によるM＆A戦略によって、その状況は一変します。2003年、楽天は「旅の窓口」を運営するマイトリップ・ネットを日立造船から買収、2004年には「旅の窓口」を「楽天トラベル」に統合しました。その後も、バスツアー会社であるスター・ツアーズ・ジャパンを買収するなど、事業拡大を積極的に行っています。2006年にはANAとの合弁会社「楽天ANAトラベルオンライン株式会社」を設立し、「ANA楽パック」というダイナミックパッケージの提供を開始しました。

「旅の窓口」の設立者である小野田氏は、マイトリップ・ネットの独立後、新たな宿泊予約サイト「ベストリザーブ」を設立しました。「旅の窓口」では手数料率は6%でしたが、2005年には楽天トラベルが7～9%に値上げしたことで、旅館・ホテル業界団体から反発を受けました。世界の大手OTAと比較すると高い水準ではありませんでしたが、楽天トラベルはキャンペーンを実施することで、業界との関係改善に努めました。2012年には事後カード決済の導入で再び摩擦が生じましたが、協議とシステム改修で対応しています。

2014年には楽天トラベル株式会社が楽天に吸収合併され、現在に至ります。2018年からは、競争激化を背景に旅行取扱額の非公開となりました。楽天トラベルは、その歴史の中で、競争、買収、合併、そして業界との摩擦を乗り越え、現在の日本を代表するオンライン旅行予約サイトとしての地位を築き上げてきました。

継続的な発展と未来

楽天トラベルは、常に進化を続け、新たなサービスや機能を導入することで、ユーザー体験の向上に努めています。今後も、国内外の旅行市場において、重要な役割を果たしていくことが期待されています。そして、マリオット・インターナショナルとの提携開始（2021年）や、ももいろクローバーZを起用したCM展開（2022年）など、積極的な取り組みによって、更なる発展が期待されています。

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