榎本大輔

榎本 大輔（えのもと だいすけ）

1971年（昭和46年）に千葉県松戸市で生まれた実業家。通称として「Dice-K」を自称しており、2022年5月時点ではオランダに在住しています。

榎本氏の初期の活動は、かつて大規模な草の根BBSとして知られた「東京がらくた工房」の運営に遡ります。このBBSではシステムオペレーター（SYGOP）を務め、当時のハンドルネームは「Dice-K」でした。事業を始めるきっかけとなったのは、「エクサモデム」と称する製品の輸入販売です。当時、国内で流通していた高速モデムは非常に高価でしたが、榎本氏は自身の運営するBBSを通じて予約販売の形式で海外からモデムを調達・販売しました。これが実業家としての第一歩となりました。

学歴については、流通経済大学付属柏高等学校を卒業しています。その後、アメリカ合衆国のウェストンワース工科大学に入学したとされますが、この大学の所在地や入学の事実に関する公的な確認は取れていません。事業の開始に伴い、大学での聴講は中断したとされています。

主な経歴

1990年（平成2年）に高校を卒業後、上記のような初期の活動を経て、事業を本格化させます。1994年（平成6年）11月には、吉野洋充氏、株式会社榎本石油、株式会社協達らと共同で出資し、株式会社エクサを設立しました。設立当初、榎本氏自身はエクサの役員には就任していませんが、同社は東京都新宿区弁天町に事務所を構え、香港で製造されたアナログモデムの輸入販売を手がけました。榎本氏もこの事業のため香港に駐在していました。

1998年（平成10年）12月には、有限会社プロジーの二代目代表取締役に就任します。2000年（平成12年）には、プロジー社を埼玉県川口市に移転させると共に、組織をプロジーグループ株式会社に改組・拡大しました。

2002年（平成14年）9月、榎本氏は自身の率いるプロジーグループを当時の株式会社オン・ザ・エッヂ（後のライブドア）に売却し、自身はオン・ザ・エッヂの取締役兼最高戦略責任者（CSO）に就任しました。しかし、翌2003年（平成15年）6月にはオン・ザ・エッヂの取締役を退任しています。

その後も実業家としての活動を続け、2004年（平成16年）12月には株式会社アイ・シー・エフの最高戦略顧問に就任。さらに2005年（平成17年）には、アストリックスキャピタルパートナーズ株式会社のジェネラルパートナーとなりました。しかし、アイ・シー・エフの最高戦略顧問については、2005年（平成17年）6月には辞任しています。

注目を集めた出来事

榎本氏の経歴には、いくつかの大きな出来事が含まれます。

ライブドア株申告漏れ: 2006年（平成18年）7月、ライブドア株の売却益約30億円に関する申告漏れが明らかになりました。
宇宙旅行計画と中止: 2006年（平成18年）10月、ロシアのソユーズ宇宙船に搭乗し、日本人初の商業宇宙旅行者となる計画を発表しました。この宇宙旅行には約22億円を投じる予定でしたが、搭乗前の健康診断において、医師団の判断により健康上の理由から搭乗は取りやめとなりました。榎本氏は宇宙旅行の企画会社であるスペース・アドベンチャーズに対し、旅行費用の返還を求めて提訴しましたが、後に両者の間で和解が成立しました。この和解の具体的な内容は公表されていません。
* 梁山泊事件関連疑惑: 2008年（平成20年）には、アイ・シー・エフに関連する不透明な企業買収疑惑、通称「梁山泊事件」において、不公正な取引により約8億円相当の株式を取得し、売却益を得ていた疑いが持たれました。この疑惑に関与した疑いにより捜査対象となり、秋葉原の自宅などが家宅捜索を受けました。

その後の動向

2013年（平成25年）には、実業家の与沢翼氏が自身のブログで榎本氏との交流があったことを報告しています。

榎本大輔氏は、IT黎明期のBBS運営からモデム輸入販売、そして企業の設立・売却を経て、ライブドア関連の動向や宇宙旅行計画、企業買収疑惑など、その経歴は多くの注目を集めています。

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