槃羅茶全

槃羅茶全の歴史的背景とその影響

槃羅茶全（ばんらちゃぜん）はチャンパ王国における重要な国王であり、1460年から1471年まで在位しました。彼は摩訶貴由の弟であり、摩訶賁該の娘を妻としたことから、王権を確立するための結束においても重要な役割を果たしました。しかし、その治世は暴政や不適切な外交政策により、王国に多くの困難をもたらすことになります。

『大越史記全書』には、槃羅茶全の治世が政務を省みない暴政だったことが記されています。彼は特にレ朝との外交において失態を重ね、敵である黎朝の侵攻を明に誤解させ、助けを求めるという無謀な行動を取りました。これが後の悲劇へとつながる大きな要因となります。

1470年8月、槃羅茶全は10万を超える軍を率いて化州に侵攻しましたが、結果としてレ・タイントンの軍に奇襲され、挟撃を受けることになりました。彼の軍は次第に崩壊し、闍槃へと退却を余儀なくされたが、退却途中でレ軍の待ち伏せに遭い、彼の軍は壊滅的な敗北を喫します。弟の指揮する部隊も敗北し、最終的に槃羅茶全は降伏の使者を派遣しますが、交渉は行われず同年3月1日に王都ビンディンが陥落しました。

この戦闘で約4万人から6万人が命を落とし、さらに3万人以上が捕虜として連れ去られました。槃羅茶全は家族と共に捕らえられ、その後の護送中に精神的な苦痛から憔悴し、亡くなります。彼の死後、首は切り離され、体は海へと投げ込まれましたが、その首は白旗で掲げられ、彼の残虐な行為を象徴する形で取り扱われました。

槃羅茶全が中国の明朝に朝貢した記録もあり、1460年に即位した際には明の使者によって王として封ぜられました。彼の時代、チャンパは明朝に対し度々援助を求める一方、レ朝との敵対も続ける事態が生じていました。輿入れしたチャンパの使者は、レ朝からの攻撃を受けている状況を訴え、明が仲介に乗り出すことになりました。また、成化5年（1469年）には再度臣従を求められるも拒否し、これがまたレ朝との緊張を生む要因となりました。

槃羅茶全と同時期の歴史的な視点から見ると、彼をマラッカ王国のポーゴポオ（Po Gopoh）と一緒に考える意見も存在しますが、これはまだ学術的に証明されていない説です。伝承によると、槃羅茶全の王子たちはマラッカとアチェに亡命し、アチェ王国の建国に関与することになったとも言われています。

彼の治世はチャンパ王国にとって災厄と混乱の時代であり、命を懸けた戦いや王国の存続に関する困難を示しています。この時代の教訓を現代に生かすことは、歴史の重要性を再認識させる意味でも非常に価値あることです。

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