樅ノ木は残った (1990年のテレビドラマ)

『樅ノ木は残った』について

『樅ノ木は残った』（もみのきはのこった）は、1990年1月に日本テレビ系で公開されたテレビドラマです。この作品は、山本周五郎の同名小説を原作としており、里見浩太朗が主演を務めました。このドラマは、特に新春年始の時期に放映される「新春時代劇スペシャル」として位置付けられています。初回放送は1990年1月2日であり、記念すべき第5回目の映像化作品です。

制作背景

本作の制作は、1989年の「年末時代劇スペシャル」第5弾『奇兵隊』における里見の不参加がきっかけで始まりました。彼はこれまで1985年のシリーズ開始以来、この年末スペシャルに数回出演していましたが、奇兵隊ではその姿を見ることができませんでした。そのため、里見の主演作として改めて年始大作『樅ノ木は残った』が企画されたのです。

本作は約167分に及ぶ長編作品で、CM抜きで3時間近い放送でした。この特別な放送枠は、従来の「年末時代劇スペシャル」の一部として位置付けられていました。また、同年の年末に放送された『勝海舟』にも里見は出演しておらず、結果的に翌年の新春作品として『寛永風雲録』も制作されることになりました。

脚本と内容

本作の脚本は、伝統的に「年末時代劇スペシャル」を手掛けてきた杉山義法が引き受けました。これまでの時代劇作品が基本的にオリジナル脚本であったのに対し、今回は原作に基づいて脚色する形が取られました。特に、原作となる小説の持つ深いテーマやキャラクターの描写が注目されています。

主人公の周囲では、甲斐の側女おくみが重要な役割を果たし、原作に比べて存在感が際立っています。このキャラクターは、秋吉久美子によって演じられ、事実上のヒロインとして位置づけられています。

放送反応

本放送は、同時期に放送されていたテレビ東京系の『宮本武蔵』第5部から第6部との競合という厳しい状況の中行われました。そのため、視聴率は期待に反して振るわず、「惨敗」という結果となりました。しかし、作品自体の質については高い評価を得ていたため、「誠に不運な結果」とも言われています。このような状況は、当時の時代劇の中での「同士討ち」のようなものでした。

ソフト発売と再放送

本作は放送の翌年、1991年1月にVHS版が発売され、同年にはレンタルも開始されました。2001年にはDVD版（2枚組）がリリースされ、その後も2008年12月にはDVDレンタルが展開されるなど、視聴の機会が提供されてきました。近年では、レンタル市場の縮小に伴い、まともに観るためにはネットレンタルがより現実的な選択肢になってきています。

また、地上波以外ではBS日テレにて再放送されることがあり、CSの時代劇専門チャンネルでも定期的に再放送されるなど、視聴機会も確保されています。歴史的な名作として、今なお多くのファンに親しまれる作品です。

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