樊阿

樊阿（はん あ）

樊阿（生没年未詳）は、後漢末期から三国時代にかけての医師であり、字は不明です。徐州彭城国（現在の江蘇省北部）の出身です。

華佗の弟子としての樊阿

樊阿は、名医として名高い華佗の弟子の一人であり、特に鍼術に長けていました。当時の医学界では、背中や胸腔への鍼治療は危険であるとされ、禁忌とされていました。しかし、樊阿は果敢にも背中やみぞおち（巨闕）といった部位に鍼を施し、多くの患者を癒したと伝えられています。

漆葉青黏散と長寿

華佗は、人体の健康に良い影響を与える食物について樊阿から尋ねられた際、特別な薬「漆葉青黏散（しつようせいねんさん）」を授けました。この薬は、漆葉（うるしば）の粉末1升に対し、青黏（せいねん）の粉末14両を混ぜ合わせたもので、長期間服用することで体内の寄生虫を駆除し、五臓を活性化させ、体を軽くし、白髪を防ぐ効果があるとされていました。樊阿は華佗の教えを守り、この薬を服用し続けた結果、100歳を超える長寿を全うしたとされています。

青黏の由来

青黏は、ある者が山中で道に迷った際に仙人が服用しているのを目撃し、その情報を華佗に伝えたのが始まりとされています。樊阿は華佗から青黏について詳しく話を聞いていましたが、その情報を周囲には秘密にしていました。しかし、樊阿の尋常ではない健康状態を不審に思った近隣の住民から問い詰められた際、泥酔していたためにうっかり青黏のことを口にしてしまいました。その後、他の人々も青黏を服用したところ、同様の効果が得られたと伝えられています。

参考文献

『三国志』巻29 華佗伝
『後漢書』巻82下 華佗伝

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