樋口直人

樋口直人について

樋口直人（ひぐち なおと、1969年生まれ）は、日本における社会学の第一人者であり、在日外国人や社会運動、さらには政治に関するさまざまな問題に取り組んできた研究者です。現在、早稲田大学人間科学部で教授を務めており、研究活動を通じて日本国内の排外主義問題に鋭く切り込んでいます。

経歴

神奈川県厚木市に生まれた樋口は、神奈川県立厚木高等学校を卒業後、1988年に気象庁に入庁します。その後、気象大学校に進学し、1994年には一橋大学の社会学部を卒業。さらに、1996年には同大学院社会学研究科の修士課程を修了し、1999年には博士課程に進むも中退しました。

この期間中、樋口は1997年から1999年にかけて日本学術振興会特別研究員として活動。2015年には一橋大学に対し「日本型排外主義: 在特会・外国人参政権・東アジア地政学」という学位論文を提出し、社会学の博士号を取得しています。

その後、徳島大学総合科学部での講師から始まり、助教授、准教授と昇進。2020年には早稲田大学の教授に就任しました。また、国立民族学博物館の共同研究員、オランダのユトレヒト大学の客員研究員としても活動し、国際的な視点からの研究を行っています。

研究業績と評価

樋口は、在日コリアンに対する排外主義やヘイトスピーチに関する研究を行い、その成果により徳島大学総合科学優秀賞を受賞しました。彼の著書『日本型排外主義』について、同業者の塩原良和が「実証的な調査データと理論的枠組み、歴史的な視点を持った分析」と高く評価しています。多くの研究者からは、彼の誠実さと揺るぎない姿勢が評判となっています。

主張と見解

樋口は「日本型排外主義」を、近隣諸国との関係によって形成される外国人排斥の動きと定義しています。彼の研究対象である「在日特権を許さない市民の会」は、彼が調査した排外主義運動の中でも特に知名度が高い団体とされ、「在日特権」という概念は根拠がないデマであるとの考えを示しています。しかし、その一方で、排外主義運動がどのように支持を集めているのかを分析し、その運動が中間層によって主導されていることを指摘しています。

また、樋口はヘイトスピーチに対して法的規制を支持しつつも、単なる法的措置では根本的な解決には至らないと警告しています。彼は、日本社会に根付く排外主義が問題の根本であり、その抑制が必要であると主張しています。

著書

樋口は多くの著作を発表しており、例えば『社会運動の社会学』や『顔の見えない定住化』、さらには『日本型排外主義』などがあります。彼の著作は、社会問題に対する深い洞察と理論構築を示しており、国内外で広く読まれています。

近年では、韓国やペルーに関連する著作を通じて、国際的な視点からも日本社会を分析し続けています。これらの研究は、排外主義の理解を深め、日本における多文化共生に向けた重要な指針を提供しています。

樋口直人の研究は、日本社会における排外主義の実態を明らかにし、より公正な社会の実現に向けた重要な課題を提起しています。

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