標津湿原

標津湿原の魅力

標津湿原（しべつしつげん）は、北海道東部の根室振興局管内に所在する湿原であり、自然の生態系が豊かに保たれています。1979年に80ヘクタールが国の天然記念物に指定され、その後1996年と2004年に追加指定が行われ、現在の指定面積は212ヘクタールに達しています。また、2001年には日本の重要湿地500にも選定され、環境保護の観点からも注目を集めています。

この湿原は、知床半島の南側の根室海峡に近く、標津町の町の中心部から北へ約3キロの位置にあります。湿原自体はポー川の自然な蛇行によって形成された低地に広がっており、全体の面積は約371ヘクタールですが、天然記念物として指定された区域が212ヘクタールであるため、日本の天然記念物の中では最小の面積となっています。特に湿原の中心部は高層湿原として知られ、独特な生態系が豊かに広がっています。

興味深いのは、ポー川の左岸には縄文時代の竪穴建物跡が発見された国の史跡、標津遺跡群が存在し、これらは地域の歴史的な背景を物語っています。この遺跡と標津湿原は「ポー川史跡自然公園」としてまとめて管理されており、観光客に公開されています。

植生と生態系

標津湿原の最大の特徴は、その植生にあります。湿原内には独自の葦やミズゴケによる丘塊（ブルト）が見受けられ、これらは通常の湿原で見る群生とは異なり、テーブル状の塊を形成しています。高さはおおよそ30-50センチ、直径は3-5メートル程度で、環境に適応した草花が生育しています。

ブルトの上には、クロミノウグイスカグラ、イソツツジ、ガンコウラン、ヒメシャクナゲ、ツルコケモモといった寒冷地および高山植物が生息し、これらの植物はこの湿原の特徴的な風景を作り上げています。また、千島列島や樺太が中心分布域となるチシマウスバスミレやエゾゴゼンタチバナも自生しており、標津湿原は亜寒帯に近い環境として非常に価値のある湿原であるといえるでしょう。

このように、標津湿原は自然と歴史、そして多様な生態系が共存している地域であり、訪れる人々にとって貴重な体験を提供しています。季節ごとに異なる顔を見せるこの湿原は、自然愛好者や研究者のみならず、多くの観光客を魅了してやまない場所です。

参考文献

• - 加藤陸奥雄他編『日本の天然記念物』（講談社、1995年）

さらに、標津湿原の保全活動に参加したり、訪問することで、自然環境の重要性を理解し、楽しむことができるでしょう。

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