湿原

湿原の概要

湿原（しつげん）は、湿地というカテゴリーに属し、特に淡水で湿った草原を指します。この自然の領域は、英語で「ムーア（moor）」や「ボッグ（bog）」と呼ばれており、地球上に広く分布しています。湿原の特性や構造は多様であり、大きくは泥炭地と非泥炭地の2つに分けることができます。

湿原の種類

泥炭地

泥炭地は、高い水分量により、微生物が植物遺体を分解するのに必要な空気が欠乏しているため、植物遺体がそのままの形で堆積しています。これにより、特有の堆積物である泥炭が形成されます。寒冷地においてはスゲやミズゴケなどの植物からなる柔らかな泥炭が見られます。一方、熱帯地域では降水量が多い場合には、木の幹などから成る泥炭が生成され、こちらは黒くて堅い特性を持ちます。

非泥炭地

非泥炭地は、植物遺体がほとんど分解され、砂や粘土のような土壌が形成されています。このタイプの湿原は、高温の熱帯地域で多く見られます。分解が早いため、傾向としては非泥炭地が一般的です。湿原には、泥炭の堆積によって生じる養分の循環が重要な役割を果たしています。

フェンとボッグ

湿原の中でも特に特徴的なのは、フェンとボッグです。

• - フェン（fen）は、周囲の水域からミネラル成分が豊富に流入し、養分が豊かで植物が大きく成長します。
• - ボッグ（bog）は、泥炭が堆積しドーム状に発展し、外部からの水供給が限られた状態で植物群落が形成されます。この環境では、水分供給は主に雨や雪に頼り、その水は酸性を示します。

湿原の高低差による分類

湿原は、その水域に対する高さによっても分類することができます。

• - 低層湿原は、泥炭表面が低く、周囲の水域と同じ高さに位置します。
• - 高層湿原は、外部から水の供給が届かなくなり、泥炭表面が高くなることで形成されます。

湿原の分布

湿原は、地球上のほぼすべての地域に見られますが、特に乾燥地帯を除く多様な環境で見かけることができます。以下に、主要な湿原の分布地域を示します。

亜寒帯

• - ユーラシア大陸では、寒冷な気候により、永久凍土となった湿原が存在し、特にツンドラ地帯として知られています。
• - 北アメリカ[[大陸]]では、カナダ北西部からアラスカにかけて大規模な湿原が広がり、細かく区切られた景観が特色です。
• - 南アメリカ[[大陸]]には、パタゴニア地域に大規模な湿原が広がり、ナバリノ島には世界最南端の湿原があります。

温帯

比較的気温が低い冷温帯では、湿原が多く見られ、特にヨーロッパや北アメリカ沿岸部に点在しています。

暖帯

地中[[海]]沿岸では、国々によって湿原が形成され、特にアフリカ[[大陸]]北部や南ヨーロッパの地域に見られます。

熱帯・亜熱帯

熱帯地域では、海辺にマングローブが発展し、湿原環境が小規模ながら多様性を持っています。

日本の湿原

日本国内では、特に北[[海道]]や東北地方で多くの湿原が確認され、特に釧路湿原が最も有名です。この湿原は、日本国内でも約60%を占め、それ自体は釧路湿原国立公園として保護されています。更に、1980年にラムサール条約に登録されたことで、国際的にも重要な湿地として認知されています。

日本のラムサール条約登録湿原には以下のような場所が含まれています：

• - 釧路湿原
• - 霧多布湿原
• - 別寒辺牛湿原
• - 雨竜沼湿原
• - サロベツ原野
• - 尾瀬ヶ原
• - 奥日光の湿原（戦場ヶ原・小田代ヶ原）
• - 芳ヶ平湿地群

このように湿原は、自然環境の生態系を支える重要な存在であり、特にその独特な特徴や地理的分布は、湿原を理解するための鍵となります。

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