権尚夏

権尚夏の生涯と業績

権尚夏（クォン・サンハ、1641年 - 1721年）は、李氏朝鮮後期を代表する文臣であると同時に、性理学の権威でもありました。彼は宋時烈と宋浚吉の弟子として、特に宋時烈の高弟として知られ、性理学を深く探求することで後の学問に多大な影響を与えました。権尚夏は、老論の第二代領袖であり、彼の学統は老論学派の嫡統として位置付けられます。彼は「致道」という字と「遂庵・寒水斎」という号を持ち、無私の学問に捧げた人生を歩みました。

学問の歩み

1660年、彼は19歳で進士となり、高い評価を受けました。学問に心を込めた彼は、早くから師匠たちの教えを受け、知識を深める日々を送りました。しかし、1675年、宋時烈が德源府に流罪となった際、権尚夏は師を失うことになりました。この混乱の時代に、彼は忠清北道の清風という山の中で学問を修める傍ら、弟子たちを指導し、儒学を広めるために尽力しました。また、程朱の書籍を翻訳・校正する作業にも取り組んでいました。

彼の弟である権尚游は、権尚夏のもとで性理学を学び、教えを受けることとなります。1686年には寒水斎を建設し、同年11月には悦楽斎も完成させ、性理学の講義を行いました。彼の教えに多くの弟子が集まり、学問の中心としての地位を築いたのです。

師匠の意志を受け継ぐ

1689年、宋時烈が済州島で再び召喚され、その道を権尚夏が共にしました。師の宋時烈が井邑で亡くなった際、彼は師の遺品とともに、老論の二大党首となりました。権尚夏は、師の遺志に従い万東廟を清州に建立し、明の神宗と毅宗を祀ることに尽力しました。

政治と学問の葛藤

権尚夏は、政治の場で多くの試練を経験しました。粛宗の信任を受け、右議政や左議政に任命されるものの、すぐに辞任します。李珥または成渾を開祖とする畿湖学派の指導者としての役割を果たし、特に「気発理乗一途説」を支持しました。これにより、彼は韓元震や李柬などの学者たちと激しい論争を展開しました。

彼の学説支持は畿湖学派の分裂を招き、権尚夏は学問の舞台でも苦難を経験しました。彼の生涯を通じて、師である宋時烈の敵だった許穆や尹鑴からは、敵視され続けたことも知られています。

最後の功績と遺産

文字や篆刻にも優れた才能を持っていた権尚夏は、 彼の死後も多くの書院に祀られ、その業績は後世に残ります。忠州、清風、井邑、星州、報恩、礼山などに建立された書院や祠堂は、彼の功績を伝え続けています。彼の文集には『寒水斎集』や『三書輯疑』があり、これらは彼の学問の結晶と言えるでしょう。権尚夏の思想は、今日の韓国における哲学界にも影響を与えており、彼の存在は歴史に刻まれています。

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