横山茂之

横山 茂之について

横山 茂之（よこやま しげゆき、1953年 - ）は東京都に生まれ、現在は理化学研究所特別招聘研究員として活躍する理学博士であります。また、東京大学名誉教授でもあり、構造生物学の専門家として知られています。彼は580億円という巨額の公的研究費が投入されたタンパク3000プロジェクトの代表責任者であり、その研究の意義と成果において高い評価を受けています。

経歴

横山は1975年に東京大学理学部生物化学科を卒業し、その後1977年に大学院理学系研究科に進学、修士課程を終え、1981年には博士課程も修了しました。同年、日本学術振興会の奨励研究員として活動を始め、1982年から東京大学で助手として働きました。1986年には助教授、1991年からは教授として学生を指導しました。その後、1993年には大学院理学系研究科の教授に就任し、同時に理化学研究所でも主任研究員としての役割を担います。1998年以降は、理化学研究所のゲノム科学総合研究センターでプロジェクトディレクターを務め、2008年からは生命分子システム基盤研究領域の長に就任しました。2013年には横山構造生物学研究室の上席研究員となり、2018年には特別研究室の特別招聘研究員に任命されました。さらに、順天堂大学医学部で客員教授、そして2023年には信州大学医学部特任教授に就任しました。

タンパク3000プロジェクト

このプロジェクトは2002年から2007年にかけて実施された日本の国家プロジェクトであり、生命に重要な約3000種のタンパク質の基本構造を解明し、その機能を解析することを目的としています。580億円という資金が使われたことから、プロジェクトの意義については厳しい批判が寄せられることもありました。特に『Nature』誌や朝日新聞などに掲載された記事では、その研究予算対効果が問われましたが、横山はこれらの批判に対して反論を行い、プロジェクトの重要性を訴えました。

アディポネクチン受容体の発見

横山は東京大学医学部と共同でアディポネクチン受容体AdipoRについての研究を行い、アディポロン（AdipoRon）という化合物の発見に至りました。アディポロンは肥満による生活習慣病の治療薬として期待されており、その成果は医療だけでなく社会全般に大きな影響を与えると考えられています。2015年にNature誌にて、このAdipoRの結晶構造に関する論文が発表され、大きな注目を集めました。しかし、AdipoRに関する横山の研究には不正が指摘されることがあり、多数の論文に不正の疑いが浮上しました。さらに、2019年にはAdipoRについて新たな報告があり、これがアディポネクチンとは無関係であることが示されました。

栄誉と受賞歴

横山はその研究成果により、2015年には持田記念学術賞、藤原賞を受賞しました。2018年には武田医学賞、2019年には紫綬褒章を受けるなど、多岐にわたって評価されています。

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