横嶋俊久

横嶋 俊久（よこしま としひさ）

日本のアニメーション演出家、監督。デジタル作画スタジオとして知られる神風動画に所属し、主に3DCGを用いた映像作品の演出を手掛けている。

2003年に神風動画へ入社。入社当時の社員はわずか4名という少数精鋭の環境で、重要なプロジェクトに携わる機会が多く与えられた。アニメーション制作を専門的に学んだ経験は入社時点ではなかったが、実際の制作現場での経験、いわば「たたき上げ」で技術と知識を習得していった。初期には数多くのコマーシャル映像、ミュージックビデオ、ゲーム用ムービーなどの演出を担当し、実績を積んだ。

商業作品の演出経験を重ねる一方で、よりストーリー性を持った映像表現への関心を深め、2009年に初のオリジナル短編アニメーション『アマナツ』を監督。この作品はドイツのシュトゥットガルト国際アニメーション映画祭で上映されるなど、国内外で紹介される機会を得た。

その後のキャリアにおいては、一度は神風動画からの独立を検討していたが、代表である水﨑淳平からの「辞める前に何か作品を作ってみないか」という提案を受け、中編オリジナル作品『COCOLORS』（コカラス）の制作に取り組むこととなる。この『COCOLORS』は、荒廃したディストピア世界を舞台にしたSF作品であり、横嶋自身が脚本も手掛けた。作品は完成後、カナダのファンタジア国際映画祭で最高賞にあたる今敏賞を受賞するなど、世界的に高い評価を獲得した。また、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門では優秀賞を受賞し、選考委員であるアニメーション監督の西久保瑞穂は、同作のCGによる人物描写に対し「人間の重みを感じさせるCG」と評している。

近年では、漫画家・鳥山明の短編を原作とした長編アニメーション映画『SAND LAND』（2023年公開）において監督を務めることが発表され、注目を集めた。

作風

横嶋が手掛けるオリジナル作品には、いくつかの特徴的な表現手法が見られる。

短編『アマナツ』では、説明的なセリフを極力排し、長回しのカットを多用。また、意図的に余白を設けることで、登場人物の言葉にならない心情の機微や、情景の空気感を表現している。これらの手法は、観客の想像力を喚起することを狙ったものである。

『COCOLORS』においても、説明的なセリフは少なく、登場人物が常にマスクを着用しているため、顔の表情による感情表現はできない。代わりに、仕草、特に手の動きによってキャラクターの内面や感情の変化を繊細に描写している。また、作品の根幹にある「無彩色の世界で色を得る」というテーマを視覚的に表現するため、各色を個別にレンダリングし、それを組み合わせて最終的な映像を生成するという、「多色刷り版画」にも通じるような独自の手法を取り入れている。

人物

幼少期からアニメーションに親しんでおり、特に『ドラえもん』と『ドラゴンボール』を好きな作品として挙げている。神風動画の入社面接においても、好きな作品を問われた際にこの2作の名前を挙げたというエピソードがある。

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