横川元代議士襲撃事件

横川元代議士襲撃事件について

横川元代議士襲撃事件は、1952年8月7日に埼玉県の比企郡大河村（現在の小川町）で起きたテロ事件です。この事件は、日本共産党に所属する独立遊撃隊の13人のメンバーによるもので、元代議士であり武蔵野銀行の取締役でもあった横川重次氏の自宅に対する襲撃が行われました。

事件の詳細

事件当日、襲撃を受けた横川氏は、無警戒な状態で自宅にいたところを襲われました。犯人の一部は「世直し状」と称される脅迫状を突きつけ、横川氏に対して残虐な攻撃を加え、さらには体中を斬りつけるという重傷を負わせました。さらに、他の襲撃者たちは家政婦や横川氏の次男を拘束し、金品を探す行為に出ました。ただし、目当ての金庫は開かず、最終的には何も持ち去ることなく現場を離れました。

発覚とその後の調査

事件後、警察による捜査が始まりました。その過程で、犯行に至る経緯や目的を示す手記や文書が発見され、日本共産党が関与する計画的な犯行であることが特定されました。犯行者の一人は、横川氏が「人民の敵」であり、彼を殺害して資金を奪い、その資金を共産党の活動に使用する意図があったと語ったとされています。これは、28年4月革命を実現するための資金集めを目的としていたことから、事件は単なる強盗にとどまらない、政治的な動機によるものであることが明らかになりました。

裁判と判決

横川襲撃事件は、その後の裁判において大きな注目を集めました。浦和地裁では、検察側が遊撃隊の指導者に対して無期懲役を求刑し、他の被告にも有罪を求めました。結果として、リーダーには懲役20年の判決が出されたほか、多くの被告が実刑となりました。一部は執行猶予付きの判決を受けましたが、事件の暴力性とその背後にある政治的意図は、裁判で認定された重要な要素となりました。

その後、控訴審では、事件の隊長に対して懲役15年という減刑判決が下され、この決定は最高裁により確定されました。一方で、事件の犠牲者を支援する団体が発表した書籍『でっちあげ 横川事件の真相』では、冤罪の可能性が主張されています。このように、横川襲撃事件は日本の政治史における重要な事件の一つとして位置づけられ、共産党との関係に関するさまざまな議論を引き起こしました。

参考文献

• - 『日本共産党の戦後秘史』（兵本達吉、2005年）
• - 「でっちあげ」刊行委員会『でっちあげ 横川事件の真相』（1962年、横川事件犠牲者救援会）

この事件は日本の歴史における重要なテロ事件の一つであり、当時の社会的状況や政治的背景を考慮する際に欠かせない事例となるでしょう。

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