横浜国立大学都市科
学部(College of Urban Science)は、都市に関する複雑な課題に学際的な視点から取り組むことを目的として設立された
学部です。都市を構成する要素、それらを支える社会や文化、そして環境との共生という多角的な視点から、持続可能な都市のあり方を追求しています。
都市科
学部は、以下の4つの分野を基盤としています。
都市社会共生: 人々の暮らしや文化、社会構造といった側面から都市を捉え、多様な人々が共生できる社会のあり方を研究します。
建築: 都市を構成する建築物の設計や計画、維持管理に関する知識と技術を学び、安全で快適な都市空間の創造を目指します。
都市基盤: 都市の基盤となるインフラストラクチャー(道路、交通、上下水道など)の計画、設計、運用に関する課題に取り組みます。
環境リスク共生: 都市における環境問題や災害リスクについて研究し、自然と調和した持続可能な都市の実現を目指します。
これらの分野に加え、教育人間科
学部や理工
学部の専門家も参画し、人文科学、社会科学、自然科学の知識を融合することで、より包括的で多角的な視点から都市問題を捉えることを可能にしています。
沿革
都市科
学部の歴史は、
横浜高等工業学校の開校に端を発します。以下に主な沿革をまとめます。
1920年:
横浜高等工業学校が開校。
1925年: 建築学科が増設。
1949年:
横浜国立大学発足時に工
学部に建築学科が設置。
1973年: 環境科学研究センターが設立。
1985年: 工
学部の学科改組により、建築学科と土木工学科が合併し建設学科が発足。
2001年: 大学院工学研究科が改組され、建築学専攻が設置。
2007年: 大学院建築都市スクール「Y-GSA」が新設。
2011年: 都市イノベーション学府・研究院が設置。
2017年: 理工
学部と教育人間科
学部を母体として都市科
学部が設置。
組織
都市科
学部には、以下のような組織があります。
建築学教室
建築学棟、建築学図書室、Y-GSAスタジオなど、充実した施設を有しています。大学院では、建築都市文化専攻として、デザイン、文化、横浜都市文化など、多岐にわたるコースが設けられています。特にY-GSA(Yokohama Graduate School of Architecture)は、国際的に活躍できる建築家の育成を目指し、独自の教育プログラムを展開しています。
土木教室
橋、水環境、地盤、交通、コンクリートなど、幅広い分野の研究室があります。また、大学院では、都市地域社会専攻として、土木工学領域や国際基盤学コースが設けられています。
都市社会共生学
教育人間科
学部人間文化課程を前身とし、海外研究、社会文化批評など、社会学、哲学、文化人類学などの分野の研究室があります。大学院では、グローバルスタディーズ領域で、都市社会に関する研究を深めることができます。
環境リスク共生学
理工
学部建築都市・環境系学科の地球生態学EPを前身として、自然生態系と社会環境系の研究室があります。数理生物学から環境法学まで、幅広い分野をカバーしています。大学院では、環境情報学府に所属し、環境問題やリスクに関する専門的な研究を行います。
大学院
都市科
学部には、都市イノベーション学府という大学院組織があります。この組織は、教員が所属する研究組織である都市イノベーション研究院と合わせて、教育・研究活動の中核を担っています。
Y-GSA (Yokohama Graduate School of Architecture)
Y-GSAは、国際的な建築家育成を目指す独自のプログラムで、スタジオ制による実践的な教育を行っています。修士論文や修士設計はなく、複数のスタジオを履修することで卒業となります。海外の建築事務所へのインターンシップ制度も充実しており、学生のグローバルな活躍を支援しています。
主な出身者
都市科
学部およびその前身の学科からは、建築家、研究者、アーティスト、
YouTuberなど、多岐にわたる分野で活躍する人材を輩出しています。
千鳥義典 (建築家、元
日本設計社長)
福澤寧子 (情報工学、
大阪工業大学教授)
福尾匠 (哲学、
日本学術振興会特別研究員)
丸山美佳 (キュレーター、批評家)
かずのすけ (
YouTuber、ブロガー)
まとめ
横浜国立大学都市科
学部は、都市に関する様々な課題に取り組むための学際的な
学部です。建築、都市基盤、環境リスク、都市社会共生といった多様な視点から、持続可能な都市の未来を創造することを目指しています。また、大学院では、高度な専門知識と実践的なスキルを身につけ、国際的に活躍できる人材の育成に力を入れています。