横浜市交通局1000形電車

横浜市交通局1000形電車

横浜市交通局1000形電車（よこはましこうつうきょく1000けいでんしゃ）は、1972年から2006年まで横浜市営地下鉄の1号線及び3号線（現ブルーライン）で運行されていた通勤電車です。この車両は、都市とともに歩んできた歴史的な存在であり、さまざまな技術革新とデザインが織り交ぜられています。

概要

1000形は、1971年に開業した1号線の上大岡駅と伊勢佐木長者町駅の路線に対応した車両として導入され、1971年3月に第1編成が完成しました。開業時は3両編成でスタートし、1977年には5両編成、1985年には6両編成へと変更が行われました。車両の番号付け方式は、都営地下鉄三田線の6000形に類似しており、形式番号に続いて編成番号が付与される仕組みです。

1971年には、日立製作所製の自動列車運転装置が導入され、試験運転が行われましたが、営業運転では利用されることはありませんでした。総勢84両が製造されましたが、抵抗制御方式であったため、老朽化が進み、2004年から新たに導入された3000R形電車と交代する形で順次廃車が進められました。

2006年12月には定期運用から外れ、同年の「はまりんフェスタ」をもって営業運転を終了しました。最後まで使用されていた1141Fは、特製のヘッドマークを装着して市民に見送られました。

外観と車内デザイン

1000形の外観は、全長18mの車体に片側3つの客用ドアを備え、他の鉄道車両とは一線を画した長い扉と窓配置が特徴です。車体は普通鋼製の内部構体に対し、外板はステンレス鋼が用いられるセミステンレス構造を採用しました。前面デザインは、スピード感を意識した「く」の字型で、横浜市営地下鉄の他の形式にも周知の意匠となりました。

客用ドアは、識別を容易にするために青いアクセントが施されている点も特筆に値します。内装は非冷房車であり、屋根には通風器、車内には横流ファンが設置されています。乗務員室には独自のツーハンドル制御器があり、鉄道運転の中では珍しいレイアウトとなっています。

技術的な進化

当初は非冷房車でしたが、1989年から1992年にかけての改造により冷房装置が設置されたほか、主要機器も更新されました。冷房は集約分散式であり、運行中の快適性が大きく向上しました。また、乗務員室も機器が最新のものに交換され、利便性が向上しました。

新しい技術が導入されていく中で、1000形電車はその役割を果たし続けましたが、時間の経過とともに新型車両との統一が進み、最終的に3000形に完全に置き換えられました。

保存とその後

廃車時には保存の打診がありましたが実現には至らず、現在は1011F編成が新羽車両基地で動態保存されています。2006年には一般公開も行われ、多くの鉄道ファンに親しまれています。廃車となった車両の中には、一部が個人に譲渡されたり、特定の場面で展示されたりしています。上永谷車両基地には、1000形の教育用研修車両が設置されており、後世に伝える役割を担っています。

おわりに

1000形電車は、横浜市営地下鉄に多くの足跡を残しました。そのデザインや運行の歴史は、他の鉄道車両と違った個性を持ち、長い間多くの人々に利用され続けてきました。今後も、横浜の交通の歴史として記憶されていくことでしょう。

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