横浜農業協同組合

横浜農業協同組合（JA横浜）

横浜農業協同組合（JA横浜）は、神奈川県横浜市旭区に本店を置き、横浜市内全域を活動範囲とする農業協同組合です。地域に根差した協同組合として、農業者と地域住民の暮らしを支える様々な事業を展開しています。

JA横浜は、いくつかの農協の合併を経て誕生しました。その起源は古く、神奈川県下で第一号とされる農協が1946年に設立されるなど、戦後まもない時期から横浜市内の各地で農業協同組合が活動を開始していました。特に1948年には、後の横浜北農協、横浜南農協、横浜中央農協、保土ケ谷農協、鶴見農協、そして田奈農協の前身となる多くの組合が相次いで設立されました。1960年代には市内一円での合併構想が浮上し、北部・南部地区で広域合併が進みました。1988年には横浜中央農協が誕生するなど再編が進み、最終的に2003年4月1日、横浜中央、横浜南、横浜北、保土ケ谷、鶴見の五つの農協が合併して「横浜農業協同組合」が発足しました。その後、2015年4月1日には田奈農業協同組合とも合併し、現在の横浜市全域を管轄する体制が確立されました。

JA横浜が手掛ける事業は多岐にわたります。組合員や地域住民の金融ニーズに応える信用事業（JAバンク）や、万が一に備える共済事業（JA共済）を提供しています。また、組合員が必要とする資材や生活関連商品などを供給する購買事業、生産された農産物を流通させる販売事業も重要な柱です。高齢化社会に対応した介護保険事業、農業経営を支援する営農事業、組織運営や資産管理に関する相談事業、健康で文化的な生活を推進する生活指導事業、そして組合の活動を広く伝える広報事業など、地域社会の多様なニーズに応える事業を展開しています。購買事業の一部である「Aコープ」店舗の運営は全農傘下の企業が行っており、冠婚葬祭や不動産関連事業については、子会社の株式会社JA横浜協同サービスが担っています。一方、ガソリンスタンドの「JA-SS」や簡易郵便局の事業は行っておりません。

都市部でありながら広大な農地を擁する横浜市において、JA横浜は都市農業の振興に特に力を入れています。管内の農地面積は3,419ヘクタールに達し、これは神奈川県内でも最大規模です。そのうち約779ヘクタールは市街化区域内にあり、都市の貴重な緑地や生産拠点として位置づけられています。JA横浜は「FOODで風土」を地域農業振興計画のテーマに掲げ、良い農業が豊かな地域環境を育むという考えのもと、地産地消を基本とした地域自給型の農業創造を目指しています。「市民と共有する農業、市民と分かち合う農業、市民とともに育てる農業」を実践し、市民との連携を深めています。営農経済面では、旧横浜南農協で実績のある農産物の一括販売方式など、都市ならではの営農モデルを管内で普及させています。また、横浜ブランド農産物の生産支援や、新規就農者の育成にも積極的に取り組んでいます。農業塾や担い手支援講座を開講したり、農産物直売所「ハマっ子」を設置したりするなど、生産者と消費者を結ぶ取り組みも活発です。

組織活動も活発で、女性部や青壮年部などが中心となり、地域における組合員教育や生活文化活動が積極的に行われています。こうした活動は高く評価され、2004年度には家の光文化賞を受賞しています。財務面では、2004年には貯金残高が1兆1,000億円を達成するなど、安定した経営基盤を有しています。JA横浜は、横浜という大都市における農業と、それを取り巻く人々の暮らしを、事業と活動の両面から総合的に支え続けています。

もう一度検索