横浜鎖港談判使節団

横浜鎖港談判使節団の概要

横浜鎖港談判使節団（よこはまさこうだんぱんしせつだん）は、幕末の日本において特に重要な外交団の一つとして位置づけられています。文久3年12月29日から元治元年7月22日、すなわち1864年2月から同年8月にかけて、幕府は池田長発（筑後守）を正使とし、河津祐邦（伊豆守）を副使、河田熙（相模守）を目付とする使節団をフランスに派遣しました。これは第二帝政期のフランスとの外交交渉を目的としたものであり、第2回遣欧使節とも呼ばれています。

使節団の目的と背景

この使節団の主な目的は、横浜の開港場を再度閉鎖するための交渉を行うことでした。孝明天皇の指示に基づき、幕府は文久3年5月10日（1863年6月25日）に攘夷系の動きをが強まる中で、開港場を閉鎖する旨を各国公使に通告しました。しかし、国際的な反応は厳しく、これに対して諸外国は拒否し、幕府もそのわずか9日後には撤回を余儀なくされました。

さらに、下関事件や薩英戦争、フランス士官カミュ殺害事件などの出来事を受けて、日本と諸外国との緊張関係が高まり、幕府は攘夷派の要望に応える形で、横浜の閉鎖を試みることとなったのです。しかし、実際にはこの任務の達成は困難であることが予想されました。

このような背景から、使節団はフランスにおける交渉の一環として、フランス士官殺害事件の賠償交渉も行うことが期待されました。

使節団の旅路

文久3年12月29日、使節団はフランス軍艦ル・モンジュ号に乗って日本を出航しました。上海やインドを経由し、スエズを通ってカイロに向かいました。途中、ギザの三大ピラミッドやスフィンクスを見学し、旅の記録として写真を撮影しました。旅の後、彼らは地中海を渡ってマルセイユに到着し、最終的にパリへと向かいました。

使節団はパリに到着後、ナポレオン3世に謁見しました。しかし、肝心の横浜の鎖港に関する交渉は、フランスが日本との貿易の拠点として横浜を重視していたため、思うようには進みませんでした。このため、交渉は失敗に終わり、池田長発は西洋文明の強大さを痛感し、開国の必要性を認識しました。

その結果、使節団はパリにおいて、フランス政府との間に約定を結び、5月17日（6月20日）に帰国の途に就きました。

帰国とその後

帰国の際、彼らが出発した時点で長州藩により関門海峡は封鎖されており、帰国時もその状態は続いていました。特に注目すべきは、使節団が帰国直前の6月19日に英仏蘭米の四カ国から、海峡を解放しなければ武力行使を行うとの警告を受けていたという点です。最終的にパリ約定には、3か月以内に関門海峡を通行可能にする旨の条項が含まれていましたが、幕府はこれを不満として7月24日（8月25日）に批准を拒否しました。

この結果、7月27日（8月28日）には四国連合艦隊が横浜を出航し、下関砲撃事件が発生する事態に至りました。使節団のメンバーの中には、同時期にナダールによって多くの写真が撮影されるなど、記録としての価値も高まっています。

使節団のメンバー

使用した使節団のメンバーは多様であり、池田長発を始め、河津祐邦、河田熙などが含まれました。また、専門の通訳官や様々な職務を持つ団員が参加しており、その中には教育者や外交官も含まれていました。

この使節団は、幕末の外交において重要な役割を果たしましたが、開国への道のりがいかに困難であったかをも示す歴史的な出来事となりました。

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