横田正俊

横田正俊：日本の司法を支えた裁判官

横田正俊（よこた まさとし）は、1899年1月11日に生まれ、1984年7月1日に亡くなった日本の裁判官です。彼は、第4代最高裁判所長官を務め、日本の司法制度に大きな貢献をしました。彼の生涯は、裁判官としての職務を全うするだけでなく、司法行政の発展にも尽力したものでした。

裁判官としてのキャリア

1925年4月に裁判官としてのキャリアをスタートさせた横田正俊は、東京地方裁判所の判事を経て、東京控訴院判事などを務めました。1943年には甲府地方裁判所の所長に就任し、戦後は司法省臨時企画部長という要職も経験しました。1946年には大審院判事に任命され、その後、1947年には公正取引委員会の委員となりました。1952年には同委員長に就任し、1958年まで10年以上にわたり公正取引委員会の運営に携わりました。

公正取引委員長時代には、教科書関係事件に関する衆議院行政監察特別委員会に証人喚問されるなど、重要な局面にも立ち会いました。1958年には最高裁判所事務総長に就任し、裁判官の待遇改善にも尽力しました。その後、東京高等裁判所長官を経て、1962年に最高裁判所判事に任命され、1966年には最高裁判所長官に就任しました。1969年に定年退官するまで、日本の司法を支え続けました。

最高裁判所長官としての業績

最高裁判所長官に就任した際、横田正俊は「訴訟の促進」を掲げました。高裁長官・地裁所長会合でもその趣旨を訓示し、在任中に訴訟処理の迅速化に貢献しました。通常、最高裁判所長官は司法行政事務や外部行事に専念することが多いのですが、横田正俊は自ら所属する第三小法廷の事件処理にも積極的に関わりました。「当時、第三小法廷には沢山の事件があり、長官が大法廷事件だけやるのは間違いだと思った」と語っており、書面審理で目を傷めながらも、長官としての職務を全うしました。

柔軟な姿勢と独自の見解

横田正俊は、裁判においても司法行政においても比較的柔軟な姿勢を示しました。官公労働者争議権の問題では刑事処罰に反対し、青年法律家協会（青法協）の問題についても穏健な意見を持っていました。一方で、最高裁長官時代には、裁判所構内でのプラカードや集会を規制する裁判所庁舎管理規程を制定するなど、秩序維持にも努めました。また、最高裁判所首席調査官制度を創設し、司法制度の発展に寄与しました。

退官後、官公労働者争議権の問題で刑事処罰肯定に転じた際には、「非常に残念だ」と述べています。青法協問題については、「少なくとも裁判官については、そう神経質になる必要はない」という見解を示し、当時の司法界における過剰な反応を批判しました。

特筆すべきエピソード

横田正俊は、歴代の最高裁判所長官の中で唯一、長官親任式が皇居宮殿ではなく那須御用邸で執り行われた人物でもあります。この事実は、彼のキャリアにおける特異な一面を示しています。

横田家の系譜

横田家は、長野県埴科郡松代町出身で、先祖は奥会津横田の住人山内大学と伝えられています。江戸時代には信州松代藩士として150石の禄を受けていた中級武士の家柄でした。父の秀雄は大審院長を務め、叔父には元鉄道大臣の小松謙次郎、弟には元一橋[[大学]]教授の吾妻光俊がいます。

横田正俊記念賞

公益財団法人公正取引協会は、独占禁止法を中心とした経済法学の振興を図るため、「横田正俊記念賞」を設けています。この賞は、経済法の若手研究者の優れた論文を表彰するもので、横田正俊の功績を称えるとともに、今後の経済法学の発展を支えるものです。

横田正俊は、日本の司法の発展に大きく貢献した人物であり、彼の生涯は、裁判官としての責任感と、司法行政への情熱を示しています。彼の功績は、今日の日本の司法制度に大きな影響を与え続けています。

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