横畠裕介

横畠裕介について

横畠裕介（よこばたけ ゆうすけ）は、1951年10月12日生まれの日本の官僚、検察官です。国家公安委員会委員も務めました。特に、第二次安倍内閣において内閣法制局長官として、集団的自衛権行使容認のための憲法解釈変更に関与したことで知られています。東京都出身。

経歴

1973年9月に司法試験第二次試験に合格し、翌1974年3月に東京大学法学部を卒業。同年4月から司法修習生となりました。1976年4月に検事任官後、東京地方検察庁を皮切りに、長野地方検察庁、東京地検、静岡地方検察庁、法務省刑事局付検事、札幌地方検察庁、東京地検を歴任しました。

長野地検時代には、1980年に発生した富山・長野連続女性誘拐殺人事件の捜査を担当。この事件で逮捕された男性の取り調べを行い、佐木隆三の著書では、横畠が男性に「道義的責任」「男の責任」といった観点から自白を迫ったとされています。男性自身も、公判で横畠の取り調べを批判しましたが、横畠はこれを否定しています。

1993年7月には内閣法制局参事官に就任し、1998年7月から1年間法務省刑事局刑事法制課長を務めた後、再び内閣法制局へ。第一部中央省庁等改革法制室長などを歴任しました。2004年8月から第二部部長、2010年7月から第一部部長を経て、2011年12月には内閣法制次長に就任しています。

内閣法制局長官は内閣法制次長からの昇格が慣例となっていましたが、第二次安倍内閣は集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更のため、2013年8月に小松一郎を行使容認派として長官に任命。横畠は次長にとどまりました。しかし、2014年1月に小松が病気で入院したため、横畠が長官事務代理に就任。小松は一時退院し集団的自衛権行使容認の閣議決定を主導した後、同年5月に長官を辞任。後任として横畠が長官に昇格しました。

2019年9月に第四次安倍再改造内閣の発足に伴い内閣法制局長官を退任。2020年5月27日には、国家公安委員会委員に就任しました。2022年春の叙勲で瑞宝大綬章を受章しています。国連平和維持活動 (PKO) 協力法改正案にも携わるなど、安全保障分野での活動が長いです。

発言

核使用憲法不禁止発言

2016年3月18日の参議院予算委員会で、他国での核兵器使用の可否について質問され、「防衛のための必要最小限度」という前提のもとで、「あらゆる種類の核使用がおよそ禁止されているとは考えていない」と回答しました。

声を荒げて発言

2019年3月6日の参議院予算委員会で、小西洋之議員の質問に対し、「このような場で声をあらげて発言するようなことまで含むとは考えていない」と発言。野党からは官僚の越権行為と批判を受け、謝罪、撤回しました。この発言に対し、予算委員長から厳重注意を受けています。

皇位継承問題

2017年6月1日の衆議院議院運営委員会で、横畠は「皇統とは天皇の血統、血筋である」と発言しました。江崎道朗は、この発言が男系男子に限らず皇位継承が可能であることを示唆していると指摘しています。

参考文献

富山・長野連続女性誘拐殺人事件の第一審判決 - 『判例時報』第1288号, 1988年12月1日, 3-81頁
佐木隆三『女高生・OL連続誘拐殺人事件』 徳間書店, 1991年9月15日
尾塚野形（取材・文）『紙の爆弾』第11巻第11号、鹿砦社、2015年9月7日、98-103頁

外部リンク

内閣法制局長官　横畠　裕介 - 首相官邸ホームページ

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