樺島のオオウナギ生息地

樺島のオオウナギ生息地

長崎県長崎市、樺島に位置する「樺島のオオウナギ生息地」は、国の天然記念物に指定されている特別な場所です。この場所は、オオウナギという大型のウナギが生息する共同井戸として知られています。

オオウナギとは

オオウナギは、ウナギ目ウナギ科に属する熱帯性の魚です。日本では、主に屋久島や種子島以南に生息していますが、九州や四国、本州では生息数が限られています。そのため、各地で天然記念物として保護されています。

樺島のオオウナギ生息地の特徴

樺島のオオウナギ生息地は、小さな漁港の近くにある共同井戸です。この井戸には、古くからオオウナギが住み着いており、稚魚が水路を遡って井戸に入り込み、成長して出られなくなるという独特の生態系が形成されてきました。

この井戸は、住民にとって貴重な水源であり、生活用水としても利用されてきました。しかし、上水道の整備により井戸が使われなくなり、水質が悪化したことが原因で、自然状態でのオオウナギの生息は1966年以降途絶えてしまいました。

保護への取り組み

オオウナギの生息を絶やさないために、地域の人々は様々な取り組みを行ってきました。鹿児島県の池田湖からオオウナギを移入したり、田原川で捕獲されたオオウナギを飼育したりするなど、保護活動を継続しています。

現在、指定地の井戸に隣接する展示用水槽では、オオウナギが飼育されており、見学することができます。また、地域住民によって定期的な清掃が行われ、生息環境の維持に努めています。

樺島のオオウナギの代替わり

樺島の井戸にいつからオオウナギが住み着いていたのかは不明ですが、古くから島民に親しまれてきました。過去には、体長2メートル近いオオウナギが棲んでいたという記録もあります。

1962年には4代目もしくは5代目のオオウナギが生息していましたが、1965年には代替わりし、体長1メートルほどの個体となりました。しかし、1966年に6代目が死亡してからは、自然発生のオオウナギは見られなくなりました。

鹿児島からの移入と飼育

1972年には、鹿児島県の池田湖から7代目のオオウナギが移入されました。その後も8代目の「うな太郎」が移入され、地域住民に親しまれましたが、老衰により死亡しました。

1994年には、田原川で捕獲されたオオウナギが「うな子」「うな次郎」と名付けられ、展示用水槽で飼育されるようになりました。現在では、「うな次郎」に代わって2014年に田原川で捕獲されたオオウナギが飼育されています。

交通アクセス

樺島のオオウナギ生息地へは、長崎駅からバスで約60分、終点樺島バス停から徒歩10分です。また、長崎自動車道長崎インターチェンジから車で約90分です。

まとめ

樺島のオオウナギ生息地は、オオウナギという貴重な生き物が生息する、特異な環境を持つ場所です。地域の人々の保護活動によって、その存在が守られています。樺島を訪れた際には、ぜひオオウナギの姿を見学し、その歴史と生態に触れてみてください。

参考資料

加藤陸奥雄他監修・森田真一、『日本の天然記念物』、講談社
文化庁文化財保護部監修、『天然記念物事典』、第一法規出版
* 長崎市教育委員会編集、『長崎市の文化財』、長崎市教育委員会

もう一度検索