樽見鉄道ハイモ330-700形気動車

樽見鉄道ハイモ330-700形気動車の概要

樽見鉄道ハイモ330-700形気動車は、1987年に導入され、老朽化したハイモ230-310形の代替として新たに製造された気動車です。この車両は新潟トランシス製のNDCを基に樽見鉄道向けにカスタマイズされました。「ハイモ」という形式名は「ハイスピードモーターカー」の略称で、数字の330は馬力を表示しています。

この車両の大きな特徴は、樽見鉄道で初めて電気指令式ブレーキが採用されている点で、これにより従来の車両との連結運転が不可能となっています。デザイン面では、正面貫通式で両運転台を備え、トイレは設置されていないもののロングシートと車椅子用のスペース、さらに脱着式のスロープが設けられており、バリアフリーにも配慮されています。

701号車は初め、樽見鉄道の標準的なブルーに塗装され、その後地域特産品の広告車両へと変更されましたが、2017年からは再び標準塗装に戻っています。一方、702号車は最初からモレラ岐阜の広告車だったことが特徴で、703号車は標準塗装での導入となっています。車両番号は従来の下１桁の連番方式を改め、701からの番号が振られています。

車両設計と構造

車体は前面貫通式で、運転士用の扉が左側に設けられています。引き戸の客用扉は両側にそれぞれ2か所ずつあり、いずれにもステップが設けられています。車椅子利用者のためにスロープが装備されていることも特筆すべき点です。また、車体には固定窓が6組あり、すべての窓には安全性が考慮されています。

701号車は一時的に宣伝用にデザインが変更されたことがありますが、702号車は一般公募でデザインされた特別塗装です。LED行先表示器が設置されており、運転においては視認性が確保されています。

走行装置と機能

ハイモ330-700形気動車には、電子制御の新潟原動機製DMF13HZディーゼルエンジンが搭載されており、動力は日立ニコトランスミッション製の液体変速機を介して2軸駆動の台車に伝わります。自動変速機構が導入されており、効率的な走行が可能です。制動装置は全電気式の指令空気ブレーキで構成されており、従来車との連結は緊急時のみに制限されています。

また、TICS（列車情報制御装置）が搭載されており、運転士はタッチパネルを使って各種機器を操作できます。加えて、空調装置には熱源としてエンジンの排熱が利用されており、冷房には機関直結式の高能力ユニットが2基装備されています。

運用と歴史

ハイモ330-700形は、ハイモ230-310形の代替として導入され、701号車の就役によって230-312号車が廃車、702号車の就役によって230-314号車が引退、703号車の導入によって230-313号車が処分されました。この新しい系列は、樽見鉄道の全線で運行されていますが、他の従来車両と併結して運転することはできません。

2017年には701号車が観光列車「ねおがわ」に改造され、塗装デザインの変更や内部の小改造が施されていますが、改造後も定期の普通列車として運行されています。多数の特筆すべき設計や機能を持つハイモ330-700形は、現在でも地域の輸送を支える重要な役割を果たしています。

もう一度検索