橄欖型駆逐艦

橄欖型駆逐艦：第一次世界大戦下の日本を支えた異色の駆逐艦

橄欖型駆逐艦は、第一次世界大戦中に大日本帝国海軍が運用した雑役船の船級です。この船級は、本来イギリス海軍のH級駆逐艦であり、そのうち2隻が日本に貸与されました。日本はこれらを地中海における船団護衛のために運用し、終戦後にイギリスへ返還しました。

貸与の経緯と運用

第一次世界大戦において、日本は同盟国であるイギリスの要請に応じ、駆逐艦を派遣しました。その際、イギリスから貸与されたのがH級駆逐艦でした。日本海軍籍には正式に編入されなかったものの、日本人乗員が運用し、日本の軍艦旗を掲げて任務を遂行しました。艦長も日本人によって務められました。

ゴキブリ駆除目的での貸与という説

一説には、イギリス海軍が大量発生したゴキブリの駆除に手を焼いていたH級駆逐艦を、日本に貸与したとも言われています。真偽の程は定かではありませんが、当時のイギリス海軍の苦境を物語るエピソードとして語り継がれています。

同型艦

橄欖型駆逐艦として日本に貸与されたのは、以下の2隻です。

橄欖（かんらん）
旧名：英H級駆逐艦「ネメシス（HMS Nemesis）」
1910年8月9日進水
1917年10月12日、第二特務艦隊司令官の指揮下で行動中の雑役船を「橄欖」と呼称
1919年1月17日任務を解かれプリマス港で返還
1921年11月26日、解体のため売却
艦名の由来：カンラン（東南アジア原産の食用植物）。かつて日本ではオリーブの訳語として用いられた。
栴檀（せんだん）
旧名：英H級駆逐艦「ミンストレル（HMS Minstrel）」
1911年2月2日進水
1917年9月20日、第二特務艦隊司令官の指揮下で行動中の雑役船を「栴檀」と呼称
1919年1月17日任務を解かれプリマス港で返還
1921年12月1日、解体のため売却

駆逐隊の変遷

2隻の橄欖型駆逐艦は、樺型駆逐艦からなる第二特務艦隊第十一駆逐隊に編入されました。大正7年4月1日に第十一駆逐隊は第二十三駆逐隊に改称され、以降、返却されるまで同駆逐隊に所属しました。

まとめ

橄欖型駆逐艦は、第一次世界大戦という特殊な状況下で、日本海軍が運用した異色の駆逐艦でした。短期間の運用ではありましたが、日本の地中海における船団護衛に貢献しました。

参考文献

片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝』（光人社、1993年） ISBN 4-7698-0386-9
福井静夫『福井静夫著作集第5巻 日本駆逐艦物語』（光人社、1993年）ISBN 4-7698-0611-6

関連項目

大日本帝国海軍艦艇一覧

もう一度検索