橈骨遠位端骨折

橈骨遠位端骨折（とうこつえんいたんこっせつ）

橈骨遠位端骨折は、手首の骨折として一般的に知られており、手首に近い部分にある橈骨が骨折した状態を指します。この骨折は、日常生活に大きな支障をきたす可能性があり、適切な治療とリハビリテーションが重要となります。

症状

橈骨遠位端骨折の主な症状としては、以下のものがあります。

手首の痛み: 骨折部位を中心に激しい痛みが生じます。
腫れ: 骨折部位とその周辺に急速な腫れが現れます。
痣（あざ）: 皮下出血により、皮膚に痣が見られることがあります。
手首の変形: 骨折により、手首の形が不自然に変形することがあります。

また、橈骨だけでなく、隣接する尺骨も同時に骨折しているケースも見られます。

原因

橈骨遠位端骨折は、年齢や活動レベルによって主な原因が異なります。

若年層: スポーツ中の怪我や交通事故などが原因となることが多いです。
高齢者: 転倒時に手をつくことが原因として最も一般的です。骨粗鬆症が進行している高齢者の場合、わずかな衝撃でも骨折しやすい傾向があります。

種類

橈骨遠位端骨折には、骨折の形態によっていくつかの種類があります。

コーレス骨折: 橈骨遠位端が背側に転位する骨折で、最も一般的なタイプです。
スミス骨折: コーレス骨折とは逆に、橈骨遠位端が掌側に転位する骨折です。
バートン骨折: 橈骨遠位端の関節面を含む骨折です。
ショーファー骨折: 橈骨の茎状突起（手首の親指側にある突起）の骨折です。

診断

橈骨遠位端骨折の診断は、一般的に以下の手順で行われます。

1. 症状の診察: 医師が患者の症状や受傷時の状況などを詳しく問診します。
2. 身体検査: 医師が手首の腫れ、痛み、変形などを確認します。
3. X線検査: X線撮影を行い、骨折の有無や種類、転位の程度などを確認します。必要に応じて、CT検査やMRI検査が行われることもあります。

治療

橈骨遠位端骨折の治療法は、骨折の程度や患者の状態によって異なります。

保存療法（ギプス固定）: 骨折のずれが少ない場合や、手術が困難な場合は、ギプスで固定し、骨が自然に癒合するのを待ちます。ギプス固定期間は通常4〜6週間です。ギプス固定中は、定期的にX線撮影を行い、骨折の状態を確認します。
手術療法: 骨折のずれが大きい場合や、関節面が損傷している場合は、手術が必要となることがあります。手術では、金属製のプレートやスクリューなどを用いて骨折部位を固定します。手術後も、ギプスや装具で一定期間固定が必要となります。

橈骨が短縮している場合や、橈骨の関節面が10%以上後方に傾いている場合、不安定な骨折の場合には手術が推奨されます。

予後とリハビリテーション

橈骨遠位端骨折の治療後、完全に回復するまでには、数ヶ月から1年程度の期間を要することがあります。リハビリテーションは、早期に開始することが重要です。リハビリテーションの内容は、患者の状態や治療法によって異なりますが、一般的には、以下のようなものがあります。

可動域訓練: 手首や指の関節の動きを改善するための訓練を行います。
筋力訓練: 手首や指の筋肉を強化するための訓練を行います。
日常生活動作訓練: 日常生活に必要な動作（食事、着替え、入浴など）をスムーズに行えるようにするための訓練を行います。

合併症

橈骨遠位端骨折の治療後には、以下のような合併症が発生する可能性があります。

手根管症候群: 手首の神経が圧迫され、痺れや痛みが生じることがあります。
CRPS（複合性局所疼痛症候群）: 骨折部位に強い痛みや腫れ、皮膚の変化などが生じることがあります。
変形治癒: 骨折が不自然な形で癒合し、手首の機能障害が残ることがあります。

これらの合併症を予防するためには、適切な治療とリハビリテーションが重要です。

統計

橈骨遠位端骨折は、非常に一般的な骨折であり、全骨折の25〜50%を占めると言われています。特に、若い男性と高齢の女性に多く見られる傾向があります。

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