橋本増吉

橋本増吉：日本の東洋史研究に多大な貢献をした学者

橋本増吉（1880年6月12日-1956年5月19日）は、日本の東洋史研究において重要な役割を果たした学者です。長崎県諫早市に生まれ、東京帝国大学文科大学史学科を卒業しました。その後、早稲田大学や慶應義塾大学で講師や教授として教鞭を執り、多くの学生を育成しました。

彼の学問的経歴は輝かしいものです。1908年に東京帝国大学を卒業した後、1909年から1919年まで早稲田大学文学科で講師を務めました。1910年には慶應義塾大学にも出講を始め、1920年には慶應義塾大学教授に就任しました。さらに、1935年には東京文理科大学、1939年には東洋大学でも講師、翌年には教授として教鞭を執るなど、精力的に教育活動に携わっていました。1944年には慶應義塾大学名誉教授となりました。

橋本増吉の研究分野は多岐に渡り、特に邪馬台国問題と日本建国史、そして中国の天文学暦学に関する研究は高く評価されています。これらの研究を通して、日本の歴史と文化への深い理解を示しました。1941年には、これらの研究業績が認められ、文学博士の学位を取得しています。

学問研究のみならず、橋本増吉は教育者、そして行政官としても活躍しました。1945年7月から1946年5月までの間、東洋大学の第14代学長を務め、大学運営に尽力しました。また、戦時中は大亜細亜協会理事として活動し、国の政策にも関わっていました。

しかし、戦後間もなく、公職追放令により教職を追われることとなりました。この出来事は、彼の学者としての活動に大きな影を落としました。それでも、1952年に追放が解除されると、すぐに慶應義塾大学に復帰し、再び教育と研究に没頭しました。

橋本増吉の著作も、彼の学問的貢献を如実に示しています。『東洋史上より観たる日本上古研究』（1932年）や『邪馬臺国論考』（1997年）、『支那古代暦法史研究』（1943年）など、多くの著書が現在も高い評価を得ています。これらの著作は、東洋史研究における古典として、後世の研究者たちに大きな影響を与え続けています。

橋本増吉は、学問研究、教育活動、行政への参加を通して、日本の東洋史研究に多大な貢献をしました。彼の業績は、現代においても高く評価されており、日本の東洋史研究史において重要な位置を占めています。彼の生涯は、学問への飽くなき探究心と、教育者としての強い責任感、そして時代の変化の中で揺れ動く日本社会を生き抜いた一人の学者の生き様を示すものです。彼の業績は、未来の研究者たちにとって、貴重な遺産となるでしょう。

もう一度検索