橘秘樹

橘 秘樹の生涯

橘秘樹（たちばな の なみき）は、平安時代中期に活動した貴族であり、彼の生没年は現在確認されていません。秘樹は中納言・橘岑継の孫であり、上総介である橘茂生を父に持ちます。彼の官位は従五位下で、地域の支配を担う大和権守という重要な役職を果たしました。

経歴

秘樹は、当時の醍醐朝において、阿波守としてその職務を開始し、その後但馬介にも任命されました。また、朱雀朝では尾張守を歴任し、さらに時期は不明ながら大和権守としても知られています。彼は長い間地方官として務め、多くの地域を治めました。

特に、延喜14年（914年）には三善清行の封事において「阿波守秘樹は、所部を粛清し、その貢を底し慎む。勤王の誠、当時に第一なり」と評され、良吏の代表として名を馳せていました。これは、彼が当時の政治において真剣であったことを示しています。

しかしながら、彼の人生は平坦ではありませんでした。政治的な争いや誣告により失脚し、彼は冤罪を被ります。この時、彼を告訴した者は逃亡し、その後の秘樹は政治生活を取り戻すことができず、最終的には廃人となってしまいました。この悲劇的な転機は、彼の名声を一変させるものでした。

官歴

橘秘樹の官歴は以下の通りです：

• - 延喜14年（914年）頃：見阿波守
• - 延喜17年（917年）3月16日：但馬介任符請印
• - 承平元年（931年）3月29日：見尾張守
• - 時期不詳：大和権守

これらの官歴からも、彼が幅広く地方部を治めていたことがわかります。一方で、失脚後の秘樹は、かつて持っていた権力を失い、彼に対する誣告が何の為に行われたのかは謎のままです。

家系と子女

橘秘樹の家系についても述べておきます。彼の父は橘茂生であり、母の情報は不詳ですが、秘樹には数人の子がいました。彼の三男は橘在列で、また一人の女子は源信明の室となりました。家族の関係においても、秘樹の地位を裏付ける重要なエピソードとなります。

結び

橘秘樹は、平安時代における地方官としての功績がありながら、政治的な陰謀に遭い、不運な最期を迎えた人物です。彼の生涯は、当時の権力闘争の厳しさを象徴しているとも言えるでしょう。各地での貢献のおかげで、彼の名は歴史に刻まれましたが、その運命の波に翻弄される様子は、時代の中での生きざまを映し出しています。

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