機上救護員

機上救護員の役割と訓練内容

機上救護員（きじょうきゅうごいん）は、海上[[自衛隊]]で医療チームの一員として航空機に搭乗し、遭難者や傷病者に対する救護活動を行う自衛官です。その資格は准看護師に相当し、特殊な訓練を受けた衛生職種の隊員です。また、ヘリコプターに搭乗する機上救護員は、HRS（ヘリコプター救助泳者）の資格を持ち、機外での救助任務にも携わります。

機上救護員の活動内容

この隊員は、航空機内において遭難者や傷病者に必要な医療的処置を施し、彼らを医療機関に無事に引き渡す責任があります。具体的には、患者の状態を観察し、必要に応じて手当を行うと共に、航空機が目的地に到着するまでの間、患者の安全を確保します。また、機上救護員は複雑な環境下でも冷静に判断し、的確な行動をとることが求められます。

一般的には、機上救護員は機内での救護の役割を担いますが、遭難者を機内に収容するアクションは、機上救助員が担当します。しかし、両方の役割を兼任する隊員もあり、こうした隊員は「救助・救護員」と呼称されます。特に、複雑な救助ミッションを実施する救難飛行艇（US-1AやUS-2など）では、救助員と救護員が協力して行動しますが、UH-60Jというヘリコプターの場合は、搭乗人数の制約から、機上救護員が兼務することが一般的です。

HRS資格と救助の手法

機上救護員がHRS資格を取得するためには、通常の救助法に加えて、特別な訓練が必要です。従来の救助法では、救助員がホイスト式クレーンを使って遭難者を救助するため、遭難者との距離を維持することが求められました。しかし、より効率的に、かつ迅速に遭難者を救助するためには、救援活動中に救助員が自由に動ける手法が望ましいとされました。この考えから、平成12年度にHRSの救助法が制度化されました。

HRS資格を取得するためのプロセスは厳格であり、まず第1術科学校で「専修科開式スクーバ課程」を受講し、スクーバ潜水資格を得てから、航空集団で実施されるHRS講習を受ける必要があります。開式スクーバ課程は特に難易度が高く、制度の初期段階では受講者の3分の2が修了できていなかったという厳しさがあります。現在では、訓練を受けた機上救護員が後輩の指導を行うようになり、結果的に修業率は上昇し、修了者は4分の3以上を占めるようになっています。

脚注・参考文献

このように、機上救護員は海上[[自衛隊]]の重要な役割を担っており、その訓練と資格取得は非常に厳しい基準が設けられています。彼らの活動によって、多くの命が救われているのです。

参考文献としては、石神一信著の『UH-60Jについて』や、岡田真理による『MILITARY REPORT 海上[[自衛隊]] 第73航空隊 救難・救助の命綱』、さらには山口光宣の著作『救難飛行艇US-1(A)について』などがあります。これらの文献は、海上[[自衛隊]]の救助活動に関する深い洞察を提供しています。このようにして、機上救護員の役割は活動の現場だけでなく、学術的な研究や市民に対しても広がりを見せています。

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