機動戦士ガンダム 戦略戦術大図鑑

機動戦士ガンダム 戦略戦術大図鑑 一年戦争全記録

この書籍は、アニメ「機動戦士ガンダム」や「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」などを基にした資料集です。主に一年戦争に焦点を当て、その時代の戦闘情報や重要人物、使用された兵器について詳しく解説しています。特に、アニメのキャラクターや機体デザインの画稿は扱っておらず、戦争そのものの情報を重視しています。

書籍の構成

本書は、多くの新しい視点から描かれており、設定資料として「宇宙世紀0094年における地球連邦の予備役軍人ビク・ハボクックによって作成された戦争資料集」として形式付けられています。このアプローチは、後の資料集にも影響を与えています。そのため、実際の戦争記録をもとにしつつ、創造的な要素が多く盛り込まれています。

著者の一人である山口宏は、Twitterで本書が当初「非公認設定本」であり、自由にクリエイティブに書けたことを明かしています。しかし、その後ゲーム「機動戦士ガンダム ギレンの野望」でそのまま内容が使われたことに困惑していたことも告白しています。

撃墜数とその疑問

本書では連邦において、アムロ・レイに匹敵する撃墜数を残したパイロットも取り上げられ、これに対する反発が見られました。著者は「連邦軍のスコアは自己申告制で、ジオン軍のスコアに比べて信頼性に欠ける」としつつも、両軍のエースパイロットたちが取ったスコアについては疑念が残るとの記述があります。

例えば、ジオン公国のトップエース、ブレニフ・オグス中佐は193機のMSを撃墜したとされますが、当時の状況を考えると、その数字の信憑性に疑問を呈する声も多数寄せられています。著者自身も、出撃回数や敵機との関係から撃墜数が必ずしも技量を示すものではないと述べています。

登場人物と兵器

本書では、登場人物の設定が豊富に盛り込まれています。多くの名前は第二次世界大戦に登場した軍人に由来しています。このように、歴史的背景が色濃く反映されています。

登場する兵器には、地球連邦軍の宇宙戦艦マゼラン型や、ジオン公国軍の宇宙戦艦グワジン型など、多種多様な艦艇が詳細に記述されています。連邦軍のホワイトベースやジオンのドロス型母艦のように、作品に登場する重要な艦艇も取り上げられており、それぞれの兵器の役割や特徴が解説されています。

まとめ

『機動戦士ガンダム 戦略戦術大図鑑 一年戦争全記録』は、単なる資料集ではなく、創造的かつ批判的な視点で一年戦争の詳細を探求する読み物です。ファンにとっては常識として受け入れられている設定のいくつかは、実はこの書籍に端を発していることもあり、その影響力は今なお感じられています。このように、ガンダムシリーズの奥深い背景を理解するための資料として、非常に貴重な位置づけを持つ一冊です。

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