機動戦士ガンダム MS IGLOO

機動戦士ガンダム MS IGLOO

『機動戦士ガンダム MS IGLOO』は、幅広いファンを持つ「ガンダムシリーズ」の中でも、異彩を放つフル3DCG作品です。2004年から2006年にかけて制作された本作は、全6話から成り立ち、ジオン公国軍の第603技術試験隊を中心に展開される物語が描かれています。

作品の特色

本作は、従来の戦争ものとは異なり、主にジオン側から一年戦争を描写しています。第1期シリーズ『1年戦争秘録』は、松戸市のバンダイミュージアムで2004年に上映されたのが初出で、後にDVDとして販売され、レンタルソフトにもなりました。また、第2期シリーズ『黙示録0079』は、2006年4月からOVA形式でリリースされ、物語は連続性を持ちながら新たな展開を見せます。

両シリーズで取り上げられるのは、ジオン軍の試作兵器が実戦で使用される様子ですが、これらの兵器は惜しくも正式採用されることはなく、試験の結果として消えていきます。それでも、パイロットたちは熾烈な戦いに全力で挑み、数少ない戦果を挙げています。出渕裕はこの作品を「負けていく『プロジェクトX』」と表現し、戦争の厳しさと敗北の悲哀を描写しています。

物語の背景

物語は、試作兵器開発に従事する若者たちの姿を中心に展開します。彼らはしばしば連邦軍からの悪役的な描写に直面しますが、視点はあくまでジオンの兵士たちに置かれています。連邦軍の描写については批判もありましたが、本作は特定の主人公を持たず、それぞれのエピソードで新しい士兵を迎え入れる形で語られます。これにより、観る者は戦争の非情さや無情さにさらされます。

キャラクターと兵器

本作には多くのキャラクターが登場します。第1期シリーズでは、オリヴァー・マイ技術中尉やモニク・キャディラック特務大尉など、様々な役割を持つキャラクターが描かれています。第2期シリーズでは、ミケーレ・コレマッタ少佐や死神が登場し、それぞれの視点から物語を深めます。

登場する兵器は主にモビルスーツ（MS）に限定されており、特にジオン軍のシンボル的存在であるEMS-10 ヅダが多くの場面で描かれています。しかし、「ガンダム」という名称の機体は劇中ではあまり登場せず、主に過去の映像資料として一瞬見られる程度です。

続編と関連作品

2008年には続編『機動戦士ガンダム MSイグルー2 重力戦線』が登場し、地球連邦軍の視点から戦場を描いています。この作品は前作と同じ設定を受け継ぎながらも、連邦側にフォーカスした内容となっています。また、連邦軍の様々な兵士が登場し、彼らの運命が描かれ、それぞれが死神と向き合うことで、より重たいテーマが展開されます。

まとめ

『機動戦士ガンダム MS IGLOO』シリーズは、ガンダムファンにとって新しい視点から戦争を描いた貴重な作品であり、ジオン軍の苦悩や戦場の厳しさを巧みに表現しています。特に技術試験隊の物語は、彼らの情熱と悲劇を通じて、戦争のリアルな一面を伝えています。

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