機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』は、2015年から2017年にかけて放送された日本のテレビアニメ作品です。ガンダムシリーズの一作であり、従来のシリーズとは異なる世界観と、少年たちの群像劇を描いた作品として人気を博しました。キャッチコピーは「いのちの糧は、戦場にある。」。

概要

本作は、宇宙世紀を舞台とする従来のガンダム作品とは異なり、「P.D.（Post Disaster）」と呼ばれる独自の時代設定が用いられています。物語は、火星の民間警備会社CGSに所属する少年兵、三日月・オーガスとオルガ・イツカを中心に展開します。CGSは、火星の独立を訴える少女、クーデリア・藍那・バーンスタインの護衛を引き受けますが、ギャラルホルンの襲撃を受け、少年兵たちはクーデターを決行。鉄華団を結成し、自分たちの手で未来を切り開こうとします。

サンライズは本作を「ドラマ性の強い少年たちの物語としての新世代ガンダム」と位置付け、若年層やアジア圏など新たなファン層の獲得を目指しました。そのため、過去のガンダム作品に関する予備知識がなくても楽しめるように制作されています。

製作

監督は、若年層向けの作品を多く手掛けてきた長井龍雪が担当。シリーズ構成は、長井監督と過去に数々の作品でタッグを組んだ岡田麿里が務めています。キャラクター原案は、漫画家の伊藤悠が担当し、泥臭くも魅力的なキャラクターを生み出しました。メカニックデザインは、鷲尾直広や海老川兼武など、過去のガンダム作品に携わったデザイナーに加え、特撮作品で活動する篠原保が参加し、これまでのガンダムシリーズとは異なる、重厚感のあるメカニックデザインを実現しています。

音楽は、横山克が担当。マリアッチやバルカンブラスの要素を取り入れたオーケストラサウンドが、物語を彩ります。

作風・演出

本作は、従来のガンダムシリーズとは異なり、大国同士の戦争ではなく、少年たちの小規模な集団が主軸に据えられています。彼らが生き残るために、戦闘などの行動を能動的に起こすようなストーリー構成となっています。また、暴走族漫画に登場するヤンキー文化やチームのつながりといった要素を取り入れ、任侠の世界観を表現しています。

作品の終着点としては、主人公勢力が最終的に敗北することが企画段階から決められていました。これは、イデオロギーや政治性のない少年たちがただひたすらに頑張る姿を描くことが長井監督の念頭にあり、どんな状況でも前に進むしかない人たちが実際に突き進むとどうなるかという思考実験に近いところから物語が生まれたためです。

演出面では、主人公側と敵対側双方の非情な面を描くなど、単純な勧善懲悪の区別ができない作りになっています。また、メカニックの演出ではビーム兵器が登場しない設定を踏まえ、「斬るのでなく吹っ飛ばす」「装甲が剥がれてフレームがむき出しになる」といった、これまでのガンダムとは違う新しい見せ方が志向されています。

プロモーション

放送開始前には、公式サイトやイベントなどを通じて、様々なプロモーション活動が行われました。特に、主要キャストや主題歌アーティストの発表は、大きな話題を呼びました。

反響

本作は、従来のガンダムファンだけでなく、若年層や女性ファンなど、新たなファン層の獲得に成功しました。一方で、従来のガンダムシリーズとは異なる作風や、衝撃的な展開に対しては、賛否両論の声も上がりました。しかし、その独創的な世界観と、少年たちの熱いドラマは、多くの視聴者の心を掴み、ガンダムシリーズに新たな風を吹き込みました。

あらすじ

無人機動兵器モビルアーマーの暴走に端を発した大戦争、厄祭戦が終結してから約300年後の世界。地球圏は、大戦の英雄アグニカ・カイエルと同志である7つの家門セブンスターズが創設した治安維持組織ギャラルホルンの監視のもとで、4つの経済圏による分割統治に移行していた。しかし長きにわたる平和はギャラルホルンを腐敗させ、その余波は地球から遠く離れた火星にも差別や貧困というかたちで蔓延していき、過酷な労働に就く孤児たちや、人身売買されるヒューマンデブリを生み出す要因となっていた。

火星の民間警備会社CGSに所属する少年兵、三日月・オーガスとオルガ・イツカは、クーデリア・藍那・バーンスタインの護衛任務を引き受けたことをきっかけに、鉄華団を結成。ギャラルホルンなどの勢力と戦いながら、自分たちの居場所を求め、未来を切り開いていく。

(以降、省略)

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