機動戦士ガンダム Twilight AXIS

『機動戦士ガンダム Twilight AXIS』

『機動戦士ガンダム Twilight AXIS』（きどうせんしガンダムトワイライトアクシズ）は、宇宙世紀0096年を舞台とする作品群です。サンライズによるウェブ小説を原案とし、同社が制作したアニメ作品、そして講談社から刊行された漫画作品として多角的に展開されました。

ウェブ小説版

本作の原点となるウェブ小説は、Ark Performanceがストーリー構成、デザイン協力、挿絵を担当し、中村浩二郎が執筆を手掛けました。2016年から2017年にかけて、サンライズが運営するウェブ小説サイト「矢立文庫」および公式ファンクラブアプリ「ガンダムファンクラブ」にて、全10章（計20回）が配信されました。これは「矢立文庫」において初めて発表されたオリジナルの『ガンダム』シリーズ小説作品です。

物語の舞台は『機動戦士ガンダムUC』で描かれた「ラプラス事変」終結から数か月後の宇宙世紀0096年。また、時系列的には本作の後に位置する『機動戦士ガンダムF91』に関連する人物や組織が登場するなど、後年の時代への繋がりも意識されています。

物語の概要

「ラプラス事変」を経て、サイコフレームという技術が持つ未知なる力が改めて認識された地球連邦政府は、これを脅威と見なします。サイコフレームの実態を探るため、連邦政府は特殊部隊「マスティマ」を、かつての「シャアの反乱」で傷跡が残る小惑星アクシズへと派遣することを決定します。

この調査に際し、元ジオン公国軍のエンジニアであるアルレット・アルマージュと、ベテランMSパイロットのダントン・ハイレッグは、アクシズ内部への道案内を依頼され、マスティマに協力し潜入します。しかし、彼らを待ち受けていたのは、ブッホ・ジャンク社が擁する私兵武装集団「バーナム」との遭遇でした。アクシズに隠されたサイコフレーム、そしてそれぞれの思惑が交錯する中で、激しい争奪戦が繰り広げられます。

主な登場人物

アルレット・アルマージュ: 主人公の一人。類稀なる感応力を持つニュータイプの女性であり、天才的なMSエンジニア。かつてはサザビー開発にも関わりました。フラナガン機関での過去を持ち、人体実験の影響で老化しにくい体質となっています。シャア・アズナブルやララァ・スンに深く関わっており、シャアの手がかりを求めてアクシズへ向かいます。
ダントン・ハイレッグ: 主人公の一人。様々な勢力を渡り歩いた経験豊富なMSパイロット。シャア専属のテストパイロットを務めた時期もあります。第二次ネオ・ジオン抗争後はアルレットと共に隠遁生活を送っていましたが、彼女を守るためにマスティマの作戦に参加し、アクシズ内で旧ネオ・ジオン軍のMSを駆りバーナムと交戦します。
メーメット・メルカ: 地球連邦政府内閣第六室所属。マスティマの隊長としてアクシズでのサイコフレーム調査と、アルレット、ダントンの護衛任務にあたります。若年ながら穏やかで丁寧な人物です。
フェルモ兄弟（クァンタン、ヴァルター）: 裏社会で知られる強化人間の双子パイロット。一年戦争で孤児となり、オーガスタ研究所で強化手術を受けた過去を持ちます。バーナムの一員としてアクシズに潜入し、立身出世を目論みます。兄クァンタンはガンダムAN-01“トリスタン”に、弟ヴァルターはバイアラン・イゾルデに搭乗します。

登場兵器

本作には様々なモビルスーツやモビルアーマーが登場します。マスティマはアクシズ内に残された旧ネオ・ジオン軍の機体（ザクIII改、R・ジャジャなど）を、バーナムは独自のカスタム機（ガンダムAN-01“トリスタン”、バイアラン・イゾルデなど）を使用します。物語の鍵となる存在として、アクシズで開発が進められていたニュータイプ専用大型MA「アハヴァ・アジール」が登場します。

アニメ版

ウェブ小説版と並行して、サンライズ制作によるショートアニメが展開されました。2017年6月から9月にかけて「ガンダムファンクラブ」にて全6話が独占先行配信されました。監督は金世俊が務めています。同年11月には、新作シーンを加えた特別編『機動戦士ガンダム Twilight AXIS 赤き残影』がイベント上映され、後にBDとして発売されました。音楽は大間々昂が担当しています。

漫画版

蒔島梓によるコミカライズ作品が、月刊ヤングマガジン（講談社）にて2017年11月号から2019年4月号まで連載されました。ウェブ小説やアニメでは語られなかった詳細な設定、特にバーナムの背後に存在するブッホ・コンツェルンとサナリィの裏取引や、ガンダムAN-01の入手経緯などが補完されています。また、漫画版独自の機体も一部登場します。コミックスは全3巻が刊行されています。

機動戦士ガンダム Twilight AXIS