機関車のぼうけん

機関車のぼうけん (汽車のえほん23)

『機関車のぼうけん』（原題: Enterprising Engines）は、1968年にイギリスで初めて発行された、ウィルバート・オードリー牧師による汽車のえほんシリーズの第23巻です。この絵本は主に低学年向けにデザインされており、複数の短編ストーリーを収めています。日本では1980年にポプラ社から日本語版が出版され、その後2004年に絶版。しかし、2010年にミニ新装版が再発売され、今も多くの子供たちに親しまれています。

機関車のぼうけんの成立背景

本書は、1945年以降ほぼ毎年1巻ずつ出版されてきた「汽車のえほん」シリーズの一部であり、1968年に登場しました。この年はイギリス国鉄において重要な変化が起こった年で、無煙化運動が完了し、蒸気機関車の営業運転が終了した時期でもあります。このため、当巻は鉄道保存運動の影響を強く受けており、オードリーが描いた全26巻の中でも特にその色合いが濃い作品といえるでしょう。

収録されている物語

本巻には、以下の4つの短編が収められています。各物語では、メインキャラクターたちの冒険や成長が描かれています。

1. ヘンリーと炭水車 (Tenders for Henry)
　ヘンリーの新たな挑戦が描かれ、彼のキャラクターの深みが感じられる物語です。

2. ヘンリーの大かつやく (Super Rescue)
　ヘンリーの勇敢な行動が、仲間たちを助けるストーリー。彼の強い意思が光ります。

3. 大だっそう (Escape)
　挿絵が特に評価されており、劇的な展開が読者を引きつけます。キャラクターたちの危機とその解決が楽しめます。

4. 小西部鉄道 (Little Western)
　様々な機関車たちが活躍する物語で、鉄道ファンにとって見逃せないエピソードです。

登場人物

本巻では、以下の主要キャラクターが登場します：

• - ヘンリー

　彼は、ゴードンと兄弟であることが明かされ、印象深いエピソードが展開されます。

• - ゴードン

　彼の誇り高い性格が描かれます。

• - ジェームス

　彼の個性も物語の中で際立ちます。

• - ダック

　賢い機関車としての彼のサポートが物語を豊かにします。

• - ドナルドとダグラス

　彼らの絆や活躍も重要な要素です。

新たに登場するサブキャラクターもいます。たとえば、オリバーはグレート・ウェスタン鉄道のモデルで、ダグラスに助けられる形で初登場します。彼の登場後、シリーズに新たな風を吹き込みます。

特徴的な機関車たち

本巻では、物語に登場する機関車たちの多様性が特徴です。特に、フライング・スコッツマンは実在する著名な機関車で、背景にある歴史も魅力的です。彼のデザインには、戦争時の姿も言及されており、物語に深みを与えています。また、ディーゼル機関車199号や7101号も登場し、それぞれ独自のストーリーを持っています。

まとめ

『機関車のぼうけん』は、単なる子供向けの物語にとどまらず、友情、挑戦、成長といった普遍的なテーマを通じて、幅広い世代に愛される内容となっています。挿絵に描かれた表現豊かな情景も魅力的で、読む人を惹きつける力があります。機関車たちの冒険を通じて、子供たちは大切な価値観を学ぶことができる、本書は今なお多くの読者に読み継がれています。

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