橳島町

橳島町（ぬでじままち）

前橋市に属する橳島町は、「ぬでじままち」と読まれる地名です。群馬県前橋市の南部、郵便番号371-0817として位置しています。

地理

橳島町は、前橋市の中心部から南に広がるエリアで、雄大な利根川の左岸に形成された前橋台地の南端部に位置しています。地域の西側を利根川が流れており、かつての地形が地名にも影響を与えていると考えられます。

地名表記と文字

この地名の最大の特徴の一つは、漢字の「橳（ぬで）」にあります。かつてこの文字は国の定めるJIS基本漢字に含まれていなかったため、パソコンや携帯電話などの情報機器によっては正しく表示されず、機種依存文字とされていました。そのため、「ぬで島」のようにひらがなで表記されることもありましたが、現在はJIS X 0213という別の規格で収録されており、比較的多くの環境で表示が可能になっています。また、JIS基本漢字に含まれるものの、使用例がほとんど見つからないことから「幽霊文字」と呼ばれる「椦（き）」という文字については、橳島町の「橳」が誤って登録されたのではないか、という説も指摘されています。

地名の由来

橳島という地名は、その土地の自然環境に由来するとされています。古く、この地域は「谷地（やち）」、すなわち低湿地や谷のような地形でした。そのような湿り気のある土地には、ウルシ科に属する落葉小高木の「ヌルデ（ヌデ）」という植物がよく生育します。かつて、この橳島の地にかつてヌルデの木が群生していたことから、「ヌデ島」と呼ばれるようになり、それが転じて「橳島」となったと考えられています。

歴史

橳島は、江戸時代にはすでに地名として存在していたことが確認されています。この時代には、現在の前橋市域を含め、広大な領域を治めていた前橋藩の領地の一部でした。

明治時代に入り、日本全国で近代的な市町村制度が整備される中で、橳島の行政区分も変化します。1889年（明治22年）4月1日の町村制施行により、それまでの橳島村は、六供村、市之坪村、上佐鳥村、朝倉村、後閑村、宮地村、下佐鳥村、そして紅雲分村、宗甫分村、前代田村、天川原村の各一部と合併し、東群馬郡に属する上川淵村の一部となりました。

その後、郡の再編が行われ、1896年（明治29年）4月1日には東群馬郡と南勢多郡が統合されたことにより、上川淵村は新たに編成された勢多郡に所属が変更されました。

昭和に入り、戦後の市町村合併の波の中で、1954年（昭和29年）4月1日、上川淵村は周辺の自治体と共に前橋市への編入を選択しました。この合併により、上川淵村は前橋市の一部となり、橳島は「前橋市橳島町」として現在に至る地名となりました。

現在の状況

2013年時点での橳島町の面積は約0.46平方キロメートルです。地域に暮らす人々の状況を示すものとして、2017年（平成29年）8月31日現在の世帯数と人口の統計情報が存在します。また、地域の子供たちが通学する市立小・中学校については、前橋市の定める橳島町の学区基準に基づいて通学先が定められています。

交通

橳島町内には、残念ながら鉄道駅はありません。しかし、地域住民や訪問者の移動手段としてバス路線が利用されています。道路網としては、地域内に国道は通っていませんが、群馬県と埼玉県を結ぶ主要な道路の一つである群馬県道・埼玉県道13号前橋長瀞線が町内を走っており、周辺地域へのアクセスを担っています。

主な施設

町内に存在する施設としては、飯玉神社が挙げられます。地域を見守る存在として、住民の信仰を集めていることでしょう。

橳島町は、その特徴的な文字を持つ地名、ヌルデという植物に由来する名の起源、江戸時代から現代へと続く歴史の変遷、そして利根川沿いの地理など、独自の要素を持つ地域です。前橋市の南部にあって、静かな環境と利便性を兼ね備えた町と言えるでしょう。

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