檜谷昭彦

檜谷昭彦：近世文学研究の巨匠

檜谷昭彦（1929年1月3日 - 1998年7月10日）は、近世日本文学を専門とする国文学者であり、慶應義塾大学名誉教授として知られています。1978年には慶應義塾大学より「井原西鶴研究」で文学博士号を取得。その学識は、近世文学研究に多大な貢献を果たしました。

教育と研究の歩み

東京に生まれた檜谷氏は、1953年に慶應義塾大学文学部を卒業後、同大学大学院博士課程に進学。1959年に課程を中退した後、慶應義塾大学にて助教授、教授を歴任しました。長年に渡り後進の指導育成に尽力し、多くの研究者を輩出しました。1993年に同大学を定年退職、名誉教授となりました。

氏の研究は近世日本文学、特に井原西鶴の作品に深く焦点を当てており、その業績は高く評価されています。緻密な考証と独自の解釈に基づく研究は、西鶴研究における重要な指針となっています。博士論文となった「井原西鶴研究」を始め、数多くの著作を発表し、近世文学研究の進展に大きく貢献しました。

主要な著作

檜谷氏の著作は多岐に渡り、西鶴研究にとどまらず、近世文学一般、さらには日本の文化や社会を多角的に考察した作品も多く含まれています。

代表的な著書として、以下が挙げられます。

『生きている敗者』: 実業之日本社、1978年。
『日本人と嘘』: ロングセラーズ、1978年。
『ことわざの世界 曖昧さと両義性』: 日本書籍、1979年。
『井原西鶴研究』: 三弥井書店、1979年。
『未練の文学 二人妻伝承考』: 日本放送出版協会、1980年。
『江戸時代の事件帳』: PHP研究所、1985年。
『西鶴論の周辺』: 三弥井書店、1988年。
『私説いろはかるた物語』: 創拓社、1990年。
『京都・名奉行の歴史読本』: 青春出版社、1998年。

これらの著作は、近世文学への深い造詣だけでなく、社会への鋭い洞察力も示しており、現代社会においても多くの示唆を与えてくれます。

共著・校訂作品

檜谷氏は単著だけでなく、共著や校訂にも携わっており、その活動は多岐に渡ります。

主な作品として、

『いろはかるた物語』（池田弥三郎氏との共著）
『日本の説話別巻』（小林保治氏、高橋貢氏との共編）
『学問のすゝめ』（福沢諭吉著、現代語訳）
『西鶴』（国書刊行会、日本文学研究大成）
『世間胸算用』（井原西鶴著、翻刻）
* 『新日本古典文学大系60 太閤記』（小瀬甫庵著、江本裕氏との校注）

などが挙げられます。これらの仕事を通じ、日本の古典文学の普及にも貢献しました。

記念論集

1988年には、還暦を記念した論集『三田文学の系譜 桧谷昭彦教授還暦記念論文集 近代篇』が刊行されました。多くの弟子や同僚による論文が掲載され、その学問的功績を称えるとともに、氏の研究の広がりと深さを示す貴重な資料となっています。

まとめ

檜谷昭彦氏は、近世日本文学、特に井原西鶴研究において、卓越した業績を残した国文学者でした。数々の著作と教育活動を通して、日本の古典文学研究に多大な貢献を果たし、その功績は現代においても高く評価されています。氏の研究は、これからも日本の文学研究に大きな影響を与え続けるでしょう。

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