櫛笥隆督

櫛笥隆督：明治・昭和期の華族、宮内官、そして政治家

櫛笥隆督（くしげ たかまさ）は、明治8年（1875年）8月25日に生まれ、昭和20年（1945年）8月28日に亡くなった、明治から昭和期にかけて活躍した日本の宮内官、政治家、そして華族です。貴族院子爵議員としての活動も知られており、その生涯は激動の時代を反映した、興味深いものです。

華族としての家系とキャリアの始まり

櫛笥隆督は、名家である櫛笥家の当主、櫛笥隆義の長男として誕生しました。明治16年（1883年）、まだ幼少であった隆督は、父の隠居に伴い家督を継承することとなります。翌明治17年（1884年）には、子爵の爵位を叙爵され、華族としての地位を確固たるものにしました。

宮中での奉職と日露戦争への従軍

明治18年（1885年）には宮中内竪に就任し、宮廷において重要な役割を担いました。その後宮中を退官した隆督は、日露戦争に従軍。戦地での経験は、彼の人生観や政治的見解に大きな影響を与えたと考えられます。戦争終結後、日本産銅社長という要職にも就き、経済界でも活躍しました。

貴族院議員としての政治活動

明治44年（1911年）、隆督は貴族院子爵議員に選出され、政治の世界へ本格的に進出します。貴族院では研究会に所属し、同僚議員らと議論を重ね、日本の政治に貢献しました。3期にわたる議員在任期間（1911年～1932年）は、日本の近代化が急速に進む時代と重なり、隆督は様々な政策決定に関わったことでしょう。貴族院議員としての活動は、21年以上に及びました。

家族と晩年

私生活では、藤川三渓の六女であるきちと結婚し、長男隆智（子爵、掌典）をもうけました。隆督の晩年は、激動の昭和時代を過ごしたことになります。昭和20年8月28日、その生涯に幕を閉じました。

参考文献

隆督の生涯を知る上で重要な参考文献として、以下の書籍が挙げられます。これらの文献は、彼の人物像を多角的に理解する上で貴重な情報源となっています。

人事興信所編『人事興信録 第14版 上』人事興信所、1921年
『貴族院要覧（丙）』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年
霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成 上巻』霞会館、1996年
* 杉謙二編『華族畫報 下』吉川弘文館、2011年（華族画報社大正2年刊の複製）

これらの文献から、櫛笥隆督という人物像がより立体的に浮かび上がってきます。華族としての出自、宮内官、実業家、そして政治家としてのキャリア、そして激動の時代を生きた彼の人生は、日本の近代史を理解する上で貴重な一石を投じるものです。

もう一度検索