櫻正宗

櫻正宗株式会社について

櫻正宗株式会社は、兵庫県神戸市東灘区に位置する、長い歴史を持つ酒造会社です。灘五郷の一つである魚崎郷に本拠を構え、創業は1717年（享保2年）に遡ります。当初は兵庫県荒牧村（現在の伊丹市）で酒造りを開始しましたが、その後魚崎に移転し、酒造専業となりました。

歴史

創業以来、当主は山邑太左衛門を襲名しており、2020年時点では11代目を数えます。特に六代目当主の山邑太左衛門は、酒の仕込み水として全国的に知られる「宮水」の発見者として名を馳せています。また、1906年（明治39年）には、官立醸造試験所の技師であった高橋偵造によって、櫻正宗の酒母から分離された「櫻正宗酵母」が、日本醸造協会により「協会一号酵母」として全国に頒布されました。

江戸時代末期には現在の場所に移転し、築後200年余りが経過した内蔵で酒造りが行われていました。この内蔵は1973年に兵庫県重要有形文化財に指定されましたが、阪神・淡路大震災で門以外の建物が全て倒壊してしまいました。現在は、震災の前年に完成した「櫻喜蔵」で製造を行っています。倒壊を免れた内蔵の門は、現在記念館の入り口として活用されています。

櫻正宗の商標にちなみ、酒蔵や記念館、付近のゴルフ練習場の敷地には多くの桜の木が植えられており、春には美しい桜が咲き誇ります。

2010年秋には、櫻正宗記念館「櫻宴」がリニューアルされ、より魅力的な空間へと生まれ変わりました。

酒の特徴

櫻正宗の酒は、口当たりの良い「やや辛口」が特徴です。伝統的な製法を守りつつ、現代の技術も取り入れ、高品質な日本酒を醸造しています。

商標の由来

創業当初は、俳優の名に由来する「薪水（しんすい）」という酒銘で流通していましたが、その名前が女性的で酒客の嗜好に合わないという意見から、新たな命名を検討しました。山城国深草の「元政庵」瑞光寺住職を訪れた際、机の上に置かれていた経典に書かれた「臨済正宗」の文字にヒントを得て、「正宗（セイシュウ）」が「清酒（セイシュ）」に通じることから、1840年（天保11年）に「正宗」を酒銘としました。

当初はセイシュウと読むのが正しいとされていましたが、マサムネという読み方が一般的に親しまれるようになり、明治期に至るまで「正宗」の銘で流通しました。なお、「正宗」という銘は江戸時代に流行したもので、櫻正宗だけが使用していたわけではありません。

明治時代に商標制度が確立されると、「正宗」を商標登録しようとしましたが、多くの蔵元が使用していたため、普通名詞として扱われ、登録は受理されませんでした。そこで、国花である桜の花を冠し、「櫻正宗」と命名しました。

主な商品

櫻正宗では、様々な種類の日本酒を製造・販売しています。

純米大吟醸：金稀 無濾過 純米大吟醸 三五、金稀 純米大吟醸 四〇、荒牧屋太左衛門 純米大吟醸、櫻正宗 純米大吟醸 協会1号酵母
大吟醸：金稀 大吟醸 原酒、櫻華一輪 大吟醸、金稀 大吟醸、大吟醸サクラカップ、神戸桜 大吟醸
純米吟醸：金稀 純米吟醸、Bonds Well with Beef 純米吟醸、コウノトリ育むお酒 純米吟醸
吟醸：正宗 吟醸原酒、吟醸、特撰吟醸、薪水 吟醸
特別純米：宮水の華 特別純米
純米：焼稀 生一本 純米、江戸一 純米、焼稀 協会一号酵母 純米、蘇百年 純米原酒、涼風しぼりたて純米酒、季節限定の純米酒、灘の生一本（灘酒研究会）純米
本醸造：朱稀 本醸造、朱稀 協会一号酵母 本醸造、菰樽 本醸造
普通酒：花雫あか、稀 さくら、香り立つ華やかなお酒、さくら RED SWEET 11
発泡清酒：Sparkling Sake Dry 発泡清酒
その他：のんたろう

これらの他にも、様々な商品が販売されています。

譲渡ブランド「瀧鯉」

櫻正宗では、2009年から「瀧鯉」の製造・販売も行っています。「瀧鯉」は、元々1758年（宝暦8年）創業の御影郷の酒蔵（その後、「大喜酒造」、「木村酒造」と名称変更）で造られていた銘柄です。旧木村酒造では、1997年に連続テレビ小説『甘辛しゃん』の撮影が行われました。

関連施設

櫻正宗記念館櫻宴：櫻正宗の歴史や酒造りについて学べる記念館です。
旧山邑家住宅：櫻正宗の創業者一族の邸宅で、国の重要文化財に指定されています。
ヨドコウ迎賓館：旧山邑家住宅を所有していた淀川製鋼所の迎賓館です。

外部リンク

櫻正宗株式会社
櫻宴〜櫻正宗記念館〜
ヨドコウ迎賓館
* 瀧鯉

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