櫻間伴馬

櫻間 伴馬の生涯と功績

基本情報
櫻間 伴馬（さくらま ばんま、1836年1月6日 - 1917年6月24日）は、明治時代のシテ方金春流の能楽師であり、1911年以降は「櫻間 左陣」と名乗った。彼は熊本出身の地方役者でありながら、その卓越した舞技により強く観客の喝采を受け、能楽復興のために多大な貢献をしたことで知られる。他の二者と共に「明治の三名人」とされ、その功績は後世に名を残すこととなった。

生い立ちと初期の活動

1835年、熊本に生まれた伴馬は、父・櫻間右陣の元で育ちた。左右を問わず才能を見せた父は、熊本藩に仕官する金春流の役者で、家系は古くから能役者として名を馳せていた。伴馬は1841年、藤崎八旛宮祭礼にて初めてシテを勤め、美男としての評判も得ていった。この頃の彼は、楽屋で取り合いが起こる程の人気であったと言われている。

江戸への修業

21歳のとき、伴馬は江戸に移り、金春流の宗家・金春元照の弟子であった中村平蔵に師事した。厳しい稽古の中で、彼は数々の技を学び取ったが、その厳しさに涙を流すことも多かった。江戸での修行を経て、彼は1861年に帰郷し、熊本での活動を再開した。

熊本での活動

伴馬が熊本に戻ると、彼は本格的な江戸風の能を披露したが、熊本の観客たちはその変化に戸惑った。特に、伴馬のライバルである友枝三郎は、彼の才能を認め、江戸式の真髄を評価した。この頃の彼は、大名家の舞台や神事能に頻繁に出演し、自らも公演を主催して盛況を博した。

しかし、彼の順調な活動は1877年の西南戦争によって打撃を受け、熊本の舞台が焼けるという被害を受けた。彼は避難を余儀なくされ、一時は厳しい生活を強いられる時間もあった。

東京進出と名声の確立

1879年、伴馬は東京に移住し、能楽復興のシンボルとなる芝能楽堂で数々の舞台に出演した。1882年の「邯鄲」で彼の名声は一躍高まり、それ以降「道成寺」でも傑出した技を披露。特に「道成寺」の鐘入りの場面では、技術的に難易度の高い演出によって観客を魅了した。伴馬の芸は、彼を「明治の三名人」と並び称される地位へと押し上げる要因となった。

晩年と評価

伴馬は1911年に喜寿を祝し「左陣」に改名しながらも、舞台への情熱は衰えなかった。天覧や皇族の前でも多くの演目を披露し、1915年の大正天皇即位式でも再び舞台に立った。

他者からは「技の伴馬」と評判され、彼の舞は特に「巧技」に優れたものであるとみなされていた。しかし、一方で彼の芸には「技術一辺倒」との批判もあったものの、彼の後継者である櫻間弓川はその技を継承し、後に名を馳せることになる。1917年に83歳で逝去した伴馬の芸は、能楽界に大きな影響を与えた。

まとめ

櫻間伴馬の生涯は、激動の時代を経て、多くの人々に愛された能楽の礎を築いていった。彼の情熱と努力は、現代の能楽界にも色濃く影響を残している。

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