次亜塩素酸

次亜塩素酸について

次亜塩素酸（じあえんそさん、英：hypochlorous acid）は、塩素を含むオキソ酸の一つで、化学式はHClOで表されます。この酸は水素原子と塩素原子が酸素原子に結合した形を持ち、塩素の酸化数は+1にあたります。このため、亜塩素酸に比べて酸化数が少ないために「次亜」と称されています。しかし、この物質は不安定であり、水溶液中で時間と共に分解してしまう特性があります。

次亜塩素酸の利用

次亜塩素酸やその塩は、多岐にわたって利用されています。特に、酸化剤や漂白剤としての効果を持ち、さらに外用の殺菌剤や消毒剤としても広く使用されています。それらの特徴から、医療や食品産業など、様々な分野で重要な役割を果たしています。

性質と調製

次亜塩素酸は一般に不安定で、特に酸性条件下では分解が進みやすいです。そのため、実験室では水酸化カリウム水溶液に塩素を通すなどして生成され、硫酸で中和して遊離酸の水溶液を得る方法が多いです。しかし、25%を越える濃度では一酸化二塩素に変わるため、高濃度の遊離酸を単離することは難しいです。また、淡黄色の濃厚水溶液として存在し、弱酸に属します（pKa = 7.53）。このため、次亜塩素酸塩水溶液は強い塩基性を示すことがあります。

次亜塩素酸は水溶液中で次のように不均化反応を経て分解します。

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2 HClO ⟶ 2 HCl + O_2
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この反応は特に酸性条件下で促進されます。このため、次亜塩素酸を扱う際は注意が必要です。

次亜塩素酸の臭い

次亜塩素酸やその塩の水溶液には、特異なカルキ臭があり、これはプールの消毒槽のような香りに似ています。これは水に溶けた塩素が、一部次亜塩素酸と塩酸に変わる過程で生じる臭いです。この反応は次のように表現されます。

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Cl_2 + H_2O ↽⇀ HCl + HClO \\ K_w = 1.56 × 10^{-4}
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この反応は中性または酸性条件ではあまり進行せず、アルカリ性条件で次亜塩素酸塩が生じるため、次亜塩素酸塩の生成方法の一つとされています。

反応と生成物

水と一酸化二塩素との反応によって次亜塩素酸が生成されます。

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Cl_2O + H_2O ⟶ 2 HClO
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また、次亜塩素酸は過酸化水素水と反応し、酸素を生成します。

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HClO + H_2O_2 ⟶ HCl + H_2O + O_2
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さらに、ハロホルム反応により、アルカリ性条件下において次亜塩素酸はメチルケトンやアルコール類を塩素化することが知られています。炭素二重結合に対しても付加してクロロヒドリン体を生成します。

次亜塩素酸の塩

次亜塩素酸は様々な塩を形成し、主なものには次亜塩素酸カルシウム（さらし粉）、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウムなどがあります。これらの塩は、次亜塩素酸の特性を持ちつつ、安定な形で利用されます。

次亜塩素酸は、消毒や漂白などの用途で非常に重要な役割を担っており、その理解は化学や生物学の分野において役立つ知識となります。

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