次亜塩素酸ナトリウム

次亜塩素酸ナトリウムとは

次亜塩素酸ナトリウム（じあえんそさんナトリウム）、英語ではsodium hypochloriteとして知られるこの化合物は、ナトリウムの塩であり、化学式はNaClOです。一般的には「次亜塩素酸ソーダ」という呼称も使われ、希釈した水溶液は「アンチホルミン」と呼ばれることもあります。特徴的なのは、水溶液が塩基性である点です。

合成方法と安定性

次亜塩素酸ナトリウムは、水酸化ナトリウムの水溶液に対して塩素を通すことで生成されます。ただし、この物質は不安定性を持ち合わせており、通常は水溶液として貯蔵・使用されます。塩素が含まれる高濃度の水溶液ほど分解しやすく、時間が経つにつれて自然分解を起こし、酸素を放出しつつ塩化ナトリウム（水）に変わっていきます。特に高温や紫外線が分解を促進しますので、室温での保存は推奨されていません。

利用分野

この化合物は、さまざまな用途がありますが、主に以下のように利用されています。

殺菌・消毒

飲料水やプールの水に次亜塩素酸ナトリウムが添加されることで、微生物やウイルスの拡散を防ぎます。市販されている家庭用漂白剤、洗濯用殺菌剤、キッチン用の消毒剤などにも次亜塩素酸ナトリウムが含まれています。また、風呂水の殺菌や再利用にも使用されており、さまざまな環境での衛生管理に寄与しています。

漂白

家庭用の漂白剤には、通常3〜8%の次亜塩素酸ナトリウムが含まれています。水酸化ナトリウムを少量追加することで、次亜塩素酸ナトリウムの分解を遅らせて漂白効果を維持します。特に製紙業界では「ハイポ」という名前で広く利用されています。

脱染と消臭

次亜塩素酸ナトリウムは、金型の汚れや食器の茶渋を取り除くのに利用されるほか、消臭効果も持っています。この特性は脱染と密接に関連しており、さまざまな用途で効果を発揮します。

危険性と安全性

ただし、この物質には注意が必要です。経口毒性調査によれば、マウスへの影響レベル（LD50）は5800mg/kgとされています。接触によって皮膚炎を引き起こす可能性があり、特に酸と混合すると有毒な塩素ガスを発生させることがあるため、家庭用製品には「混ぜるな危険」との注意書きがされています。

食品添加物として

水溶液は、食品添加物としても利用され、食材の消毒に用いられます。しかし、処理に際して生成される有害な化合物にも注意が必要です。調査によれば、ほうれん草の処理時に生成されるクロロホルムの量は注意が必要とされています。

まとめ

次亜塩素酸ナトリウムは、その漂白作用や殺菌効果から非常に多くの分野で使用されていますが、取り扱いには注意が必要です。正しい利用法を守ることで、その効果を安全に最大限に活用できるでしょう。

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