欧州国境沿岸警備機関

欧州国境沿岸警備機関（Frontex）とは

欧州国境沿岸警備機関（European Border and Coast Guard Agency, Frontex, EBCGA）は、欧州連合（EU）の専門機関の一つです。2015年の欧州難民危機を背景に、2016年10月6日に従来の欧州対外国境管理協力機関から改組・改称されました。

組織構成

Frontex（EBCGA）というEUレベルの機関と、シェンゲン圏の対外国境における国境管理・国境警備・沿岸警備を担当する各国の当局が連携し、「欧州国境沿岸警備隊」（European Border and Coast Guard, EBCG）を構成しています。

本部所在地はポーランドのワルシャワです。2004年以降にEUに加盟した国に拠点を置く最初の機関の一つとなっています。

責務

旧欧州対外国境管理協力機関は、EU加盟国の中でも域外・非加盟国と接する国境警備を担当する国境警備隊の活動調整、国境管理に関するEU規則の履行支援、対外境界分野での加盟国間の運用協力調整を任務としていました。各加盟国の責務である自国の国境管理について、EU全体で高効率の標準を確保する役割も担っていました。

職員と手段

設立当初は、ワルシャワでの職員募集に苦戦し、他の都市よりも低い賃金が提示されるという問題がありました。2012年2月時点では、国家専門家、臨時雇用、補助および契約職員など272人で事務局が構成されていました。職員の出向依存は、経験の喪失につながるとして外部監査役から指摘を受けています。

南部海岸線の国境管理を支援するため、2007年4月には迅速展開国境警備チーム（RABIT）が編成されました。また、2007年5月にはカナリア諸島で欧州パトロールネットワークが運用開始され、2010年10月には武装警察官がギリシャ・トルコ国境に展開しています。

Frontexが実施する国境パトロールには、EU加盟国だけでなく、アイスランドのような国も参加しています。船舶追跡のため、EU資金によるシーホース先進衛星システムも活用されています。

トルコでの事件

2009年9月、エーゲ海で不法移民対策活動を行っていたラトビアのヘリコプターに対し、トルコ軍のレーダーが警告を発しました。トルコ側は領空侵犯を主張しましたが、Frontex当局はパトロール機はトルコ領空内に入っておらず、任務を継続したと発表しました。その後、Frontexはトルコ沿岸警備隊が不法移民をEU側へ誘導する様子を撮影し、証拠として提出しています。

2009年10月には、レスボス島沖でも同様の事件が発生しています。

ヘルメス作戦

ヘルメス作戦は、イタリアと北アフリカ間の地中海における監視活動です。ランペドゥーザ島に到着したチュニジアなど北アフリカからの難民に対応するため、2011年2月20日に開始されました。オランダやポルトガルも航空機などを派遣して協力しました。

リスク分析レポート

Frontexは毎年、不法越境や越境犯罪に関するリスク分析レポートを発表しています。2012年のレポートでは、EUへの不法入国の主要ルートはギリシャ・トルコ国境と東地中海ルートであることが指摘されました。2011年には55,000件以上の不法入国が発見され、前年比12％増となっています。

Frontexは、EUの国境管理において重要な役割を担っています。しかし、その活動には様々な課題も存在します。今後のFrontexの活動に注目が集まっています。

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