欧州疾病予防管理センター

欧州疾病予防管理センター（ECDC）

欧州疾病予防管理センター（ECDC）は、Europeの専門機関で、EU諸国における感染症の予防と制御を目的として2005年に設立されました。本部はスウェーデンのストックホルム県ソルナに位置しています。ECDCは、感染症の予防と抑制、また公衆衛生の向上を図るために、科学的知見や情報を提供しています。この機関は、他にも「欧州疾病予防対策センター」や「欧州疾病対策センター」といった名称でも知られ、略称は欧州CDCとも呼ばれることがあります。

設立の背景

ECDCの設立は、欧州連合内の経済統合と国境の開放に伴う公衆衛生の重要性が増す中で実現しました。具体的には、2003年に発生した重症急性呼吸器症候群（SARS）の流行が、各国の連携による効果的な公衆衛生政策の必要性を浮き彫りにし、EU全体での施設創設が急務となりました。この背景の中で、欧州委員会は2003年7月に法案を提出し、2004年春には法案が可決されました。ECDCは2005年春に事業を開始し、その活動の一環としてH5N1亜型インフルエンザウイルスへの対策にも着手しました。

組織体制

ECDCの組織は、2011年4月に改編され、2012年7月時点でもう一度見直され、現在は5つの主要な単位がそれぞれの役割に応じた活動を行っています。主任科学担当官室が中心となり、7つの感染症プログラムを統括します。この主任科学担当官室は、科学的助言部門や細菌学調整部門を含む組織です。また、情報通信技術やインフラの整備などを担当する管理支援の部門もあり、これらの体制はECDCが効果的に機能するために必要不可欠なものです。

取り組みの内容

ECDCの主要な業務には、気道感染症（インフルエンザや結核）、ヒト免疫不全ウイルス（HIV）や性感染症、ワクチンで予防可能な病気、抗菌薬耐性、医療関連感染症、食料や水系感染及び人獣共通感染症、そして新しい病原体の監視などが含まれます。これらの分野において、ECDCは科学に基づいた助言やガイドラインを提供し、感染症の流行に迅速に対応できる体制を整えています。そのために約300人の専門職が勤務し、10年間の運営には総額5000万ユーロを確保していると言われています。

まとめ

ECDCは、EU内での感染症対策や公衆衛生の強化に寄与する重要な機関です。設立以降、さまざまな感染症に対する対策や情報提供を行いながら、質の高い健康サービスを市民に提供するための努力を続けています。その活動は、EU諸国の連携を強化し、感染症の脅威に対する知識と対応能力を向上させる基盤を築いています。

もう一度検索