欧州航空航法安全機構

ユーロコントロール（Eurocontrol）

ユーロコントロール（欧州航空航法安全機構）は、1963年に設立された、シームレスで汎ヨーロッパ的な航空交通管制の実現を目指す国際機関です。現在41か国が参加し、ベルギーのブリュッセルに本部を置いています。

概要

ユーロコントロールは、ヨーロッパ全域の航空交通管制の管理と計画を担っています。政府機関、航空ナビゲーションサービスプロバイダー、民間航空会社、軍、空港など、多様な関係機関と連携しながら、航空機がゲートを出発してから到着するまでの一連の航行サービスを提供しています。具体的には、戦略的な交通量管理、航空管制官の訓練、空域の地域管理、安全が認証された技術と手順の導入、そして航行サービス料金の徴収などが含まれます。

各部門の機能

ユーロコントロールは、以下の部門を通じて、多岐にわたるサービスを提供しています。

欧州航空交通流管理機関 (CFMU)：フライトプランと実際の航空交通の流れを管理します。
欧州航空情報データベース (EAD)：航空情報業務（AIS）への中央アクセスポイントを提供します。
欧州航行援助施設料事務所 (CRCO)：航行サービス提供組織に代わり、飛行経路および空港進入時の航行支援サービス料金を徴収します。
ユーロコントロール実験センター (EEC)：航空交通管制に関する研究とシミュレーションを実施します。
中央ヨーロッパ研究開発シミュレーションセンター (CRDS)：航空交通管制に関する研究とシミュレーションを行います。
航空保安業務職員研修所 (IANS)：航空交通管制官に対する訓練およびeラーニングを提供します。
ユーロコントロール安全規制要件 (ESARR)：EC指令2096/2005に基づいた認証・指定を受けるための基礎要件を定めます。
マーストリヒト高高度管制センター (MUAC)：ベルギー、ルクセンブルク、オランダ、北西ドイツの上空、24,500フィート以上の高高度を飛行する航空機の交通管制を行います。

マーストリヒト高高度管制センター (MUAC)

MUACは、マーストリヒト・アーヘン空港に位置し、ベルギー、ルクセンブルク、オランダ、北西ドイツにおける高高度の航空交通管制を担当しています。1972年の運用開始以来、ヨーロッパで2番目に交通量の多い管制区管制所として知られています。

MUACでは、新世代の飛行計画情報処理システム (FDPS)、短期衝突警報 (STCA)、中期衝突検出 (MTCD)、管制官パイロットデータリンク通信 (CPDLC) など、革新的な技術を導入し、生産性の向上を図っています。

MUACの航空交通管制部門は、1時間あたり平均50機以上の航空機を処理し、平均飛行間隔は約18分です。交通量の約60%は、ロンドン、パリ、フランクフルト、アムステルダム、ベルリンといったヨーロッパの主要空港を発着する便です。

規制業務

ユーロコントロールは、欧州委員会からシングル・ヨーロピアン・スカイ（単一欧州空域）の規制の一部を委譲されています。

加盟国

ユーロコントロールには、以下の国々が加盟しています。

ユーロコントロール、欧州連合 (EU)、欧州民間航空会議 (ECAC) すべてに加盟している国：ベルギー、フランス、ドイツ、ルクセンブルク、オランダ、アイルランド、ポルトガル、ギリシャ、マルタ、キプロス、ハンガリー、オーストリア、デンマーク、スロベニア、スウェーデン、チェコ、イタリア、ブルガリア、スペイン、スロバキア、クロアチア、フィンランド、ポーランド、リトアニア、ラトビア、エストニア
ユーロコントロールと欧州民間航空会議 (ECAC) の加盟国：トルコ、スイス、ノルウェー、モナコ、北マケドニア、モルドバ、アルバニア、ウクライナ、セルビア、アルメニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ、ジョージア、イギリス
* ユーロコントロール、欧州連合 (EU) 未加盟の欧州民間航空会議 (ECAC) 加盟国：アゼルバイジャン、アイスランド

ユーロコントロールは、欧州の航空交通の安全と効率を支える重要な役割を果たしています。技術革新と国際協力を通じて、ますます複雑化する航空交通の課題に取り組んでいます。

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