欧州超大型望遠鏡

欧州超大型望遠鏡 (E-ELT) - 宇宙の謎を解き明かす巨大な眼

ヨーロッパ南天天文台 (ESO) がチリのアタカマ砂漠に建設を進める欧州超大型望遠鏡 (E-ELT) は、次世代の天文学を担う、口径39mという圧倒的なスケールを誇る地上望遠鏡です。単一鏡では実現不可能な巨大な集光力と空間分解能により、宇宙観測に革命を起こすと期待されています。2025年のファーストライトを目指し、現在も建設は順調に進められています。

798枚の鏡が織りなす巨大な瞳

従来の光学望遠鏡は、口径が大きくなると鏡の製作や構造上の問題から限界がありました。最大でも約8m程度が技術的な限界とされてきました。E-ELTは、この限界を克服するため、画期的な技術を採用しています。1.4mの六角形の鏡を798枚も組み合わせることで、全体で39mもの口径を実現しました。まるで巨大なハチの巣のような構造を持つ主鏡は、宇宙からの微弱な光を効率よく集め、かつてないほど鮮明な宇宙の姿を捉えることができます。

E-ELTが目指すもの：宇宙の未解明領域への挑戦

E-ELTは、その驚異的な観測能力によって、これまで不可能だった様々な観測を可能にします。主な研究テーマは以下の通りです。

ハビタブルゾーンに存在する地球サイズの系外惑星の探査: E-ELTの高空間分解能は、地球サイズの系外惑星の大気を詳細に観測することを可能にします。これにより、生命の存在可能性を調べることが期待されています。
星の考古学による銀河の歴史解明: 近傍銀河の星々を詳細に観測することで、銀河の形成や進化の歴史を解き明かすことができます。
* 宇宙最初の星（ファーストスター）と最初の銀河の観測: 宇宙誕生直後の、初期宇宙における星や銀河の観測は、宇宙論研究に重要な知見をもたらします。

チリのアタカマ砂漠：天体観測の理想郷

E-ELTは、チリ北部セロ・アルマゾネス山頂に建設されています。標高3046mのアタカマ砂漠は、乾燥した大気と安定した気候という、天体観測に理想的な環境を備えています。同地域には既にESOが運用する超大型望遠鏡VLTも存在し、E-ELTはその近傍に建設されています。

壮大な計画：費用と建設の歴史

E-ELT計画は2000年に口径100mのOWL(Overwhelmingly Large Telescope)構想として始まりました。その後、設計の見直しを経て、現在のE-ELT計画が2006年に発表されました。2012年にはESO評議会によって正式に承認され、2014年には建設工事が開始されました。2018年の経済状況では、建設費用は約11.74億ユーロと推定されています。現在、主鏡セグメントの据え付けも始まり、2025年のファーストライトに向けた準備が進められています。副鏡や第3鏡などの主要な光学部品の製造は完了しており、ドーム建設も終了間近です。

技術仕様

未来への展望

E-ELTは、単なる巨大な望遠鏡ではありません。それは、人類の宇宙への理解を深めるための、強力なツールです。その観測成果は、宇宙の起源や進化、生命の誕生といった、人類にとって究極の問いに答える手がかりを与えてくれるでしょう。2025年のファーストライト、そしてその先の観測成果に、世界中の天文学者たちが期待を寄せています。

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