欽ちゃんドラマ・Oh!階段家族!!

欽ちゃんドラマ Oh!階段家族!!：縦に広がる家族の物語と制作秘話

1979年、日本テレビ系列で放送された『欽ちゃんドラマ Oh!階段家族!!』は、視聴者の記憶に深く刻まれた作品の一つです。 萩本欽一主演によるこのドラマは、単なるホームドラマの枠を超え、ユニークな設定と個性的なキャラクター、そして波乱に満ちた制作過程によって、多くの話題を呼びました。

斬新な発想：縦に繋がる家族の生活

このドラマの最大の特徴は、その舞台設定にあります。三つの棟が長い階段で繋がった住宅に暮らす家族の姿を描いた、ヒューマンコメディです。この斬新な発想は、萩本欽一と、萩本がかつてコントでタッグを組んだ齋藤太朗監督のアイデア出しの過程で生まれたと言われています。萩本は、従来のドラマとは一線を画す、縦方向のドラマを構想。階段というユニークな空間を用いることで、家族の繋がりの深さや、それぞれの個性、そして日常の出来事を、よりダイナミックに表現することに成功しました。

波瀾万丈の制作過程：2000万円の損失と再収録

ドラマの制作過程もまた、ドラマチックでした。第1話の収録が完了したにも関わらず、萩本とスタッフは出来栄えに満足せず、ボツという判断を下します。その結果、約2000万円もの制作費の損失を被る事態となりました。萩本自身もこの出来事について、「どうしていいか、わからなくなっちゃった」とコメントしており、作品にかける並々ならぬ熱意と責任感の表れと言えるでしょう。しかし、この出来事によって、より洗練された、そして記憶に残るドラマが完成したと言えるかもしれません。

豪華キャストが織りなす人間模様

『欽ちゃんドラマ Oh!階段家族!!』は、萩本欽一をはじめ、豪華なキャスト陣を擁していました。コント作家である遠山欽一役を演じた萩本欽一を中心に、菅原洋一、浜木綿子、井上純一、杉田かおる、土田悦子、伊藤秀和といった人気俳優陣が、それぞれの持ち味を存分に発揮しています。さらに、谷啓、藤村俊二、西田敏行といった、コメディアンとしても知られる俳優たちが、ドラマに笑いと活気を与えています。清水由貴子、水の江滝子といったベテラン俳優も参加し、世代を超えた共演がドラマに深みを与えました。

放送とサブタイトル：地方放送の変遷

ドラマは、毎週金曜日のゴールデンタイムに放送されました。新聞の番組表には、第10話から独自のサブタイトルが掲載されるようになりましたが、これはあくまで番組表用のタイトルで、本編のクレジットタイトルとは異なるものです。また、静岡県では、放送局の変更に伴い、放送日時や系列局が変更されるという、興味深い展開もありました。初期は静岡けんみんテレビ（現・静岡朝日テレビ）で土曜夕方に放送されていましたが、静岡第一テレビの開局を機に、同時ネットへと移行したのです。

欽ちゃんシリーズとの繋がり

『欽ちゃんドラマ Oh!階段家族!!』は、『欽ちゃんのどこまでやるの!』、『欽ちゃんのドン!とやってみよう!!』といった、萩本欽一が中心となった人気バラエティ番組の流れを汲む作品です。これらの番組と同様に、視聴者参加型の企画や、ユーモラスな演出、そして個性豊かな出演者たちが、番組の魅力を高めています。しかし、ドラマとしての深みと、家族の絆を丁寧に描いた点において、『Oh!階段家族!!』は、他の欽ちゃんシリーズとは一線を画す作品と言えるでしょう。

まとめ：時代を超えて愛されるドラマ

『欽ちゃんドラマ Oh!階段家族!!』は、そのユニークな設定、豪華なキャスト陣、そして波乱に満ちた制作過程によって、多くの視聴者の記憶に残るドラマとなりました。 階段という、一見するとありふれたモチーフを、独創的な視点で捉え、家族の温かさや人間関係の複雑さを繊細に描いた点は高く評価できます。 このドラマは、単なるエンターテイメント作品としてだけでなく、日本のテレビドラマ史における重要な作品の一つとして、今後も語り継がれていくことでしょう。

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