欽慈太后

欽慈太后（きんじたいごう）は、北宋の神宗皇帝の妃嬪であり、徽宗皇帝の生母として知られています。彼女の姓は陳氏です。

生涯

欽慈太后は、開封府祥符県の庶民、陳守貴の娘として生まれました。彼女は最初、後宮に入り、仁宗皇帝の長女である福康公主の侍女として仕えました。その後、神宗皇帝に見出され、関係を持つようになり、御侍（ごじ）という位を得ました。そして、後の徽宗皇帝となる趙佶（ちょうきつ）を産み、才人（さいじん）に進みました。

元豊8年（1085年）に神宗皇帝が崩御すると、美人に進封され、皇帝の陵墓である園陵の奉仕にあたりました。しかし、彼女は憂いと憤りのうちに病に倒れ、飲食を拒否するようになり、「早く先帝のもとに奉仕したい」と口にするようになったと言われています。

元祐4年（1089年）6月、彼女はついに薨去しました。その後、紹聖3年（1096年）4月になって、貴儀（きぎ）（嬪に相当する位）に追封されました。そして、徽宗皇帝が即位した後の建中靖国元年（1101年）には、皇太后として追尊され、その生涯に名誉が与えられました。

彼女の生涯は、庶民の娘から皇帝の母、そして皇太后へと、劇的な変化を遂げたものでした。宮廷内での権力闘争や、愛する夫である神宗皇帝の死など、多くの苦難を経験しながらも、彼女は強い意志を持ち、自らの運命を切り開いていったと言えるでしょう。

欽慈太后の存在は、北宋の歴史において重要な役割を果たしました。彼女の息子である徽宗皇帝は、文化や芸術を愛する皇帝として知られていますが、その母である欽慈太后の存在もまた、忘れてはならないものです。

伝記資料

『宋史』
『宋会要輯稿』

もう一度検索