歌のワイド90分!

歌のワイド90分!：日本テレビが贈る歌謡音楽番組の全貌

1982年10月から1986年9月まで、日本テレビ系列で放送された『歌のワイド90分!』は、当時としては異例の長尺、90分にわたる生放送音楽番組でした。主に演歌や歌謡曲の最新ヒットを届ける番組として人気を博し、その内容は、最新の音楽情報だけでなく、視聴者参加型の企画も豊富に盛り込まれていました。

カラオケブームと視聴者参加型コーナー

番組が放送されていた時期は、まさにカラオケブームの真っ只中。そのブームを反映してか、番組内には数々のカラオケ関連のコーナーが設けられていました。北と南のチームに分かれて競い合うカラオケ歌合戦や、イントロクイズなどの企画は、視聴者の参加意識を高め、番組を盛り上げる重要な役割を果たしていました。イントロクイズは通常、お立ち台に駆け上がって歌う形式でしたが、演歌歌手の竜鉄也さんがゲスト出演した際には、着席した状態での早押し形式に変更されるなど、ゲストに合わせた臨機応変な対応も見られました。

さらに、『ザ・トップテン』を彷彿とさせる「ご当地カラオケトップテン」は、三笑亭夢之助さんと宮尾すすむさんを交え、生中継で各地域とスタジオを繋ぎ、全国各地のカラオケ人気を競う、まさに視聴者参加型の全国規模の企画でした。これらの工夫によって、『歌のワイド90分!』は単なる音楽番組の枠を超え、視聴者と一体となったエンターテインメント番組としての側面を強く持っていました。

番組制作とスタジオ

『歌のワイド90分!』は、『スター誕生!』で知られる池田文雄氏が発案者として名を連ね、田中義一氏をプロデューサー、重松修氏、神戸文彦氏、庄司文雄氏らベテランスタッフがディレクターとして参加するなど、制作陣も豪華な顔ぶれでした。

番組の初回放送では、司会の徳光和夫アナウンサーが、番組が日本テレビ麹町分室（当時本社）の北本館1階にあるGスタジオ（2代目、2020年解体）のこけら落とし番組であることを紹介しています。これは、老朽化のため改築された北本館の新しいGスタジオを、本番組が生放送で初めて使用したことを意味しており、番組にとって、そして日本テレビにとっても記念すべき出来事だったと言えるでしょう。また、2時間拡大版の際には「歌のワイド90分!+30」というタイトルで放送されました。演奏は高橋達也と東京ユニオン、指揮は高橋達也が担当していました。

司会者と関連番組

番組の司会は、1982年10月から1986年3月までは徳光和夫アナウンサーと神保美喜さん、1986年4月から9月までは泉ピン子さんときくち教児さんが務めていました。徳光アナウンサーは、本番組の終了後、『歌のトップテン』（1987年3月まで）の司会を務めるなど、音楽番組における司会実績を積み重ねて行きました。また、きくち教児さんは当時、中京テレビで『ズームイン!!朝!』のキャスターを務めていたにもかかわらず、水曜夜に東京からの生放送である本番組に出演するため、木曜朝の『ズームイン!!朝!』は他のキャスターに担当を任せていました。この事実は、きくち教児さんの人気と番組への意欲の高さを示しています。

関係者と関連番組

『歌のワイド90分!』は、多くのスタッフ、出演者の努力によって支えられ、大きな成功を収めました。そして、本番組で培われた経験や人脈は、その後、徳光和夫アナウンサーが司会を務めた『NTV紅白歌のベストテン』、『ザ・トップテン』、『歌のトップテン』、『速報!歌の大辞テン』といった数々の音楽番組にも繋がっていったことは間違いありません。これらの番組は、日本の音楽史に大きな足跡を残した番組群であり、『歌のワイド90分!』もその歴史の一部を担っていたと言えるでしょう。

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