歌川国松

歌川国松について

歌川国松（うたがわ くにまつ）は、1855年に生まれ、1944年に亡くなった日本の浮世絵師です。彼は江戸時代後期から昭和時代にかけて数々の作品を残し、後に五代目歌川豊国としても知られています。

来歴

国松は歌川国鶴門に弟子入りした三男であり、父の仕事を手伝いながら浮世絵の技術を身につけました。12歳の頃、彼は江戸田所町の古着商・大黒屋で仕事を始めた後、明治初年には横浜の実家に戻りました。父国鶴のもとで修行を重ねた後、明治12年に自身の版元を開業して成功を収めました。

その後、東京で小林永濯に師事し、『荒磯新聞』に挿絵を提供しました。さらに、豊原国周の門下にも入り、明治17年には大坂で『此花新聞』向けに作品を発表。ここでの活動を通じて、朝鮮事変に関連した錦絵を描いたことでも知られています。明治45年までの間に、多くの著名な作家の小説の表紙絵や挿絵を手掛け、多色刷り木版画も残しています。特に『東京絵入新聞』や『絵入朝野新聞』などでの仕事が顕著です。

明治22年から明治36年にかけては、京都でも活動を行い、その後再び東京へ戻ります。大正10年には再び東京に定住し、オットマン・スモリックから石版画を学ぶなど、技術の幅を広げました。

作品活動

国松の作品には多くの錦絵があり、いくつかの大作も残されています。特に「横浜高嶋町神風楼之図」や「東京第一等之劇場新富座繁栄之図」は大錦3枚続で、現存する作品の中でも優れたものです。また、彼は肉筆浮世絵や新聞挿絵など多岐に渡るジャンルに挑戦し、「幕末明治風俗図」は彼の絶筆とされています。

晩年と評価

国松は東京都台東区老松町で90歳の生涯を閉じました。その後、彼の遺族によって昭和47年に五代目歌川豊国の称号を受け、歌川一門の伝統を受け継ぐ存在として評価されるようになりました。

国松の作品は、特に明治時代の日本の風俗や文化を反映した貴重な資料として現在でも多くの人々に親しまれています。彼の浮世絵は、戦後の日本美術にも影響を与え、多くの研究がされています。これにより、彼はただの浮世絵師ではなく、日本の美術史においても重要な役割を果たした人物として認識されています。

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