歌舞練場

歌舞練場は、京都の花街、具体的には祇園、先斗町、上七軒などに存在する、劇場としての役割と、芸妓や舞妓が歌、舞踊、楽器などの稽古を行うための練習場としての役割を兼ね備えた施設です。

歴史

最初に歌舞練場が設立されたのは、祇園甲部の祇園甲部歌舞練場と先斗町の先斗町歌舞練場です。これらの歌舞練場は、1872年（明治5年）に開催された京都博覧会に協賛して初演された「都をどり」と「鴨川をどり」のための仮設劇場として開設されました。「都をどり」と「鴨川をどり」が非常に好評だったため、翌年の1873年（明治6年）には、練習会などにも使用できる常設劇場が開設され、これがそれぞれの歌舞練場の始まりとなりました。その後、他の五花街にも、それぞれの花街の特色を活かした舞踊発表会である「をどり」と共に、歌舞練場が次々と開設されていきました。

各歌舞練場の概要

祇園甲部歌舞練場: 都をどりの会場として知られています。1913年（大正2年）に現在の場所に移転し、1953年（昭和28年）に大規模な改装が行われました。
先斗町歌舞練場: 鴨川をどりの会場であり、1927年（昭和2年）に建てられました。
宮川町歌舞練場: 京おどりの会場として利用されています。1969年（昭和44年）には、東山女子技芸学校を併設した現在の劇場観客席部分が新築されました。
上七軒歌舞練場: 北野をどりの会場です。明治30年代に建築、増築が行われ、1951年（昭和26年）に現在の形となりました。
祇園東: 祇園東は歌舞練場を所有していません。1958年（昭和33年）に建設された元映画館である祇園会館で、毎年祇園をどりを公演しています。
島原歌舞練場: かつて存在した島原歌舞練場は、1873年（明治6年）に前身の建物が建てられ、1927年（昭和2年）に新築移転しましたが、花街としての島原の衰退により1996年（平成8年）に解体されました。

舞踊以外の営業

上七軒歌舞練場では、夏季にビアガーデンが営業されます。ここでは、本物の芸妓や舞妓が浴衣姿で客をもてなします。宮川町歌舞練場でも、かつて1970年代に行っていたビアガーデンの営業を2014年に復活させたところ人気を博し、2015年、2016年も継続されました。仮設テントでの営業ではありますが、本物の芸妓や舞妓によるもてなしは、上七軒歌舞練場のビアガーデンと同様です。

また、先斗町歌舞練場では、8月上旬の「京の七夕」の期間限定で「舞妓茶屋」と称するビアホールが開設され、ここでは舞踊も楽しむことができます。

これらのビアガーデンは、通常のビアガーデンと比較するとやや割高ですが、一見客でも利用できるため人気があります。ただし、混雑状況によっては、芸妓や舞妓はあまり長い時間特定のグループに留まることができず、次のテーブルへと移動してしまうことがあります。

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